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待ち合わせ場所は、いつもの公園。彼女はそこで待っていた。
じとりと僕を睨む。おかしいな、遅刻はしてないはずなのに。
「何なのよ、その荷物は」
「だってだって、これは必要だろ」
と僕は一つ一つを取り出して説明しだす。あきれる彼女。その荷物を全て近くを流れる川に放り出す。
「あぁぁぁぁぁぁ! 何てことを」
「やかましい! 駆け落ちするわけじゃないでしょ」
と言って何故か、赤くなる。普段そんなこと意識しないぶん、何だか照れて、恥ずかしい。でも僕はそれでもいいけど? と笑ってみた。お互い、湯気の出そうなほど赤くなる。そんなやりとりをしながら、僕らが行ったのは山の上の神社。すでに廃屋でくずれかかっていて、参拝する人なんて誰もいない神社。
昔話しがあった。
一年に一回の夏の終りに近いある日に、その神社で一番逢いたい人に逢える。僕の荷物は、その人に逢えた時、色々遊ぶためのなのに、ひどいよなぁ、本当に。
伝説は伝説。昔話は昔話。それは分かっている。
それでも逢えるのならと、僕と彼女は祈る。時間だけが流れる。夜は進む。時間とゆっくりと。霧が流れる。時間が流れる。ゆっくりと時間を逆回転させる。
そして僕と彼女は、本当にあの人に逢えたんだ。 |