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 TOP小説リレー小説保存版>04




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■020■
書いてもいい? 投稿者:オカザキレオ 投稿日:2001/06/02(Sat) 15:03 No.167   <HOME>
 雨が降った。
 悲しくはなかった。寂しさなかった。ただ胸に猫を抱く。猫の体が寒さに震える。信也の体も冷え切っていた。
『そんな野良猫、捨ててきなさい』
『また、そんなもの拾ってきて! うちでは飼えないぞ』
『信也の馬鹿、私が猫嫌いなの知らないの!』
『赤ちゃんもいるんだよ。猫の毛は体に悪いんだよ』
 母が父が姉が祖母が責めたてる。信也は猫を抱きしめ、何も考えず抱きしめた。流れる涙。信也の弟......わずか三ヶ月の真司はビックリして泣き出す。
 家族達は慌てて、真司をあやしにかかる。
 誰も信也の事を見ていない。
 信也は黙って、家を出た。誰も信也が出ていった事に気付かない。悲しくなかった。寂しくなかった。ただ猫に囁く。
「僕には君がいるから」
 弱々しく鳴く猫。
 ずぶ濡れになったまま猫を撫でる。
 とその雨が、一時、遮断される。雨は降る。でも、信也には降らない。きょとんとして見上げると、そこには一本の傘が差し出された。にこっと、微笑む女が一人。
「濡れるわよ」
「もう濡れてる」
「もっと濡れるわよ」
「こんなに濡れたら、いくら濡れてもかわらないよ」
「そんなことない。君がよくても猫ちゃんが死んじゃうよ」
「え?」
「私のお家においでよ。坊や、暖かいミルクぐらいあるよ?」
「・・・・・・」

 雨が降った。
 信也はただ頷いた。
 女と一緒にただ歩く。猫は弱々しげに吐息をもらした。
 (僕が僕が.....何も考えなかったから)
 涙がまた流れる。
 女はそっと信也を抱きしめた。
「大丈夫。まだ仔猫だからね、体力はないの。温めてあげれば大丈夫。すぐによくなるからね」
「うん」
 泣いた。どれが雨でどれが涙なのか分からないくらい泣いた。そっと手を握ってくれる彼女の温もりが、とても嬉しくて嬉しくて四歳の信也は、はじめて-----やっと、四歳らしい感情を表出できた。信也は寂しくて、ずっと我慢していた。それを家族は気付かなかった。それをこの女は気付いた。それをこの仔猫し理解してくれていた。
「猫ちゃんのミルクもあるからね」
「うん」
 何度もうなずく。「うん」
「にゃー」
 弱々しく、でも優しく猫も鳴いて、信也の手をざらざらした舌でペロリと舐めた。

「信也!」
 雨の音にかき消されて、必死に探す家族の姿に信也はまるで気付かなかった。家族も焦りで、見落としていた。
 すれ違って、そのまま消えた。
 雨の音に消えた。
 淋しさに震えて、信也と猫は寒さに凍えた。
 雨は降る...........
  


私も書いていいですか? えも - 2001/06/12(Tue) 14:55 No.177   <HOME>

猫がぺろぺろとミルクをなめている。温かいミルクを一生懸命に飲んでいる猫を信也と女は一緒になって見ていた。
あたたかいかいミルク。なぜかそれを見ていたら、温かさを感じた。いや、その女の人の温かい優しさかな...。

信也は女の家に来ていた。お世辞にもきれいとは言えない、正直、ボロなアパートだった。
「ふふふ。汚いでしょ。」女は笑って言う。
「ううん!そんな事、ないよ。」信也は必死になって言った。
「でも、お姉さん、ホットミルクくらいなら作れるから...あなたも、飲むでしょう?」
そう言って、信也が座っている前のテーブルにホットミルクを入れたカップを置いた。
「ありがとう。」信也は差し出されたホットミルクを少しずつ飲んだ。
冷えきった心と体が、じんわりと温かくなってゆくのを感じる。
女は、少しの間黙りながら、信也と猫を見ていた。

「ずぶ濡れになっちゃったね。着替えていくといいわ。」
女はそう言って、クローゼットの中から、少し大きめの子供服を出してきた。
「これ、私の弟のなんだけど...よかったら使ってちょうだい。」
信也はその服を受け取ると、部屋の奥で着替えた。その服はちょっと甘いような香りがした。
多分、ここの女の人の匂いが染み付いているのだろう。この女の人は、どうしてこんなに優しいんだろう、と信也は思った。

「ところで、何があったのか、聞いてもいいかな?」
女はゆっくりとした口調で言った。
「うん...。」
信也は、猫を拾ったこと、その猫を家に連れて帰っていったら、家族みなに非難されたことを話した。

「僕にはね、この猫の気持ちが分かる気がするんだ。独りぼっちで、寂しくて。でも、それを誰にも分かってもらえなくて。」
信也の目はだんだんと赤くなってきた。

「ちょうど、僕がそうなように、この猫も一人ぼっちで寂しいと思ったんだ。だから...。ほっておけなかったんだ。」
信也の目から、ふたたび涙のしずくが落ちる。

「あなた、優しいのね。」女は切なそうな笑顔で言った。そっとハンカチを取り出す。
「でも、きっとその猫ちゃんも、あなたが胸に抱えてくれたことで、少しは救われたと思うわ。」

「そんな事...ないよ...こんなに寒い中、凍えさせてしまうところだったんだもん...」

信也が顔中涙でぐちゃぐちゃにしながら言うと、部屋の隅でミルクを飲んでいた猫が、女のひざにのってきた。
「にゃー」猫は女の顔をぺろぺろなめる。
それを切なそうに、女は猫をなでてやる。

女は少し黙り込むと、何かを決めかねたように言った。

「ごめんね。この猫はね、本当は私が捨ててしまった猫なの。」

「えっ!?」信也は持っていたカップを落としてしまった。


短い方が読みやすいと思うんですが・・ りん - 2001/06/26(Tue) 22:57 No.182  

「あ、ごめんなさい」
「いいのよ。火傷しなかった?」
女が手早くこぼれたミルクを拭き取っていく。
「あの子も小さい頃よくミルクをこぼしたわ・・・」
「え?」
女は狭い室内で、どこか遠くを見つめていた。

「あのね、私には息子がいるの。貴方と同じでとっても猫が大好きな、
心の優しい男の子なの。
だからね。昔はたくさん猫を飼っていたわ。
広い庭のある、赤い屋根のお家。花壇には花が咲いていて、私もあの子も、あの人もいつもいつも笑ってた」

仔猫がにゃあと鳴いた。女はその頭をなでてやる。
「その男の子は今、何処に居るの?」
信也はそっと尋ねてみた。

「あの人といっしょにね、私じゃない女の人といっしょに居るのよ。
私はね、捨てられちゃったの。この仔猫みたいに・・」

外には雨が降っている。信也は寒いと思った。
女の人も寒そうだった。





こんなにしてしまいました、、、 のがぁ - 2001/07/27(Fri) 01:16 No.192  

この仔猫は、女の人の子供の代わりなのかな。
どうして捨てたりしたんだろう。
分からない。

だから信也は、こう聞いていた。

「捨てられたくないのに、捨てたの?」


女の人は、目を向けなかった。


そこから、彼女は妙によそよそしくなった。
「クッキーがあるの、食べない?」
「あぁそうそう、ゼリーもあったわね。そっちの方がいいかしら?」
傍目には優しいお姉さん。でも、さっきまでみたいに、温かくもなければ、寒くもない。子供の好きそうなものを並べているだけ。
まるで別人だと、信也は思った。
「クッキー、ください・・・」
信也は初めて、敬語を使った。

帰りも、あっけなかった。通り一遍の引き止めの言葉は、信也には聞こえていなかった。
雨は、小降りになっていた。
「出て来ちゃった・・・どうしよう・・・」
アパートの階段の下で、信也は困り果てた。どこに行こうとも思っていなかった。ただ、あの女の人の部屋にいるのが、嫌だったのだ。

「・・・也・・・信也!・・・」
声が聞こえた。うっすらと目を開ける。信也はいつの間にか、眠ってしまっていたのだ。
「信也!!」
母の声だった。
寒そうに、こわばった声。
暖かな想いの声。
どっちなのか分からない。どっちともなのかもしれない。
信也のことには、まだ気付いていない。信也は思った。答えないと、見つけてくれない。答えないといけない。答えるんだ。答えよう!お願い、僕に答えさせて!
「お母ちゃん!」
飛び出してゆく信也の瞳は、涙で輝いていた。


見つけてくれるでしょうか? パンダ - 2001/07/27(Fri) 20:05 No.193   <HOME>

最後の「答えないと、見つけてくれない。」っていうのを読んで、少しドキッとしました。

黙っていたら、見つけてくれない。
黙っていたら……


ちょっとだけ訂正します のがぁ - 2001/07/28(Sat) 08:46 No.194  

僕が書いたところで、ちょこっと変えたいところがあります。話の最後のほうにある
> 僕は、答えたいんだ!!
を、
> お願い、僕に答えさせて!!
にしたいと思っています。元のセリフだと、立ち直ったばかりにしては強すぎると思ったので。
傑作選に収録される時は、よろしくお願いしますね。>ぴーしゅけさん


んで、感想(辛め)です。 のがぁ - 2001/07/28(Sat) 09:08 No.195  

書きながら思ったのは、「転」が無いな、ってことです。
誤解を恐れずに言えば、りんさんが書かれたのは、「承」の続きというように見えました。
そんな訳で、「結」としてはいますが、私が書いたパートの前半はあたかも「転」のようになっています。

続けて読むぶんには悪くない話だと思います。ただ1点、「結」は2つのシーンを詰め込んだせいで窮屈になってしまったので、もう少しバランス良く配分できたら、なお一層良くなったんじゃないかと思います。


御礼 ぴーしゅけ (oёo) - 2001/07/30(Mon) 22:49 No.196   <HOME>

多分、これまでのリレー小説で一番長いお話でしょう。
難しい「結」を考えて下さったのがぁさん、ありがとうございます。
その他の方もどうもです。

のがぁさんの変更希望は確かに承りました。保存版にする折には必ず。

ちょっと不可思議なお話にまとまりまして、感無量でございます。


遅れましたが、感想です。 えも - 2001/08/07(Tue) 12:22 No.200   <HOME>

すごい、私も結末を読んでいて、ドキリとしました。
答えなきゃ、見つけてくれない、、自分が発しなければ、まわりの人に気付いてもらえない事だってあるのかのしれないなと思いました。
何だか、続けにくい「承」にしてしまってすみませんです。<(_ _)>
でも、このお話全体を読んだら、すごく、心に感じるものがありました。


■019■
たまには三人称でいかが? 投稿者:みゅう 投稿日:2001/05/06(Sun) 00:23:25 No.149  
あまり大きくない……というよりは、かなり小さいその店で彼女は一人で紅茶を飲んでいた。
4つしか椅子のないカウンターには常連らしい初老の婦人が店の女主人と他愛のない世間話をしている。
彼女も「準・常連」と呼べるくらいには頻繁にここにきているが、その婦人のように女主人と親しく言葉を交わしたことはない。
いつも、奥の二人用のテーブルに一人で座り、文庫本か雑誌をめくっている。


三人称じゃなくなっちゃったかな?? えも - 2001/05/11(Fri) 11:08:53 No.151  

(今日も変わらないな…。)日常なんてそんなものさと思いながら、彼女がふとカウンターの方を見ると、初老の女と目が合ってしまった。

すると常連らしい初老の女が彼女のテーブルに向かってやってきた。

「あんた、毎日って言っていいほどここに来ているけど、ここは正直言ってあんまり素敵なお店とは言えない所じゃない。それなのにどうして来ているのさ。何か理由があるのかい?」

初老の女は少し沈みがちな口調で言った。女主人と世間話をしている時のような、明るい声とは正反対の口調で。

彼女はその言葉の調子の裏に隠れているものを感じ取った。
初老の女も、自分と同じように、何かわけありでここに来ているのだろうか。


懲りずに入力するのこと。 あらたにたけし - 2001/05/18(Fri) 12:00 No.160  

「私には居場所がないんです」
 彼女はいつもそうしているように、今日読んでいた文庫本を閉じ、初老の女に顔を向けた。彼女はこの店の外でもいつもひとりだった。彼女の両親は共働きで、夜遅くまで家に帰ってこないことも多く、家庭の会話などほとんどない。学校へ行っても、クラスメイトたちは彼女には分からない理由で彼女を避けた。
「私はどこへ行っても一人ぼっち。話し掛けてもだれも返事をしてくれない。だから、それならいっそ誰も私を知らない場所で、最初からひとりでいたらいいと思って……」
「そうかい。そいつは悪い事を聞いちまったね」
 初老の女は彼女に非礼を詫びると、急にやさしげな微笑を見せた。
「っていったって、ここに来る連中は、みんな似たようなもんだけどね」
「そうなんですか」
「そうなんですか、か。あんた、ここがどこか分からずに来たんだね」
 そう言って、肩をゆすって初老の女が笑う。彼女はさすがに常連というだけのことはあり、この店の事なら、出来た時から現在にいたるまで知らない事は何もない、という顔をした。
「ま、あんただけに限った事じゃないけどさ」
 やれやれと首を振る初老の女に、
「あの……」
 彼女は初めて自分がいるこの店がどこなのか、まったく知らない事に気がついた。そして、急にこみ上げ始めた不安に駆られるように、初老の女に低い声で問い掛けた。
「そういえば……その……ここはいったい、どこなんですか?」


三人称…??(笑) えび - 2001/05/21(Mon) 12:35 No.163   <HOME>

「表の看板、いや、表札を見てごらんよ。」
彼女の脳裏に、不安がよぎった。
「スイマセン…表札って??」

「ここはね、ここのご主人が趣味で作ったバーなのさ。
戸を開け放しておいたら、
いつかしら、不思議に、人が集まるようになってしまった。」

「私、人のお宅に勝手にお邪魔していたんですね…。ごめんなさい。」
彼女は辺りを見まわしてみる。
そういわれてみると、普通の家の一角に見えてくる…。
確かに、メニューもなければ、値段もあまりにも安かった。

「いや、勘違いしてくる人は多いから、気にする事はないよ。
みんな、何故か一人を求めて、ここに来る。
一人を求めているのに、人のいる場所に行きたくなる。
おかしなもんだね。
人は一人だと、一人がいいと言いながら、人のテリトリーに、無断で進入してくる。
ここは確かに人の家で、あんたは不法進入者だけどね。」
彼女は、気もそぞろに立ち上がろうとした。
初老の女は、それを押し留める。

「いや、悪い意味には取らないでおくれ。
みんなそうやって生きているんだよ。みんな似たようなもんさ。
人は一人ではいられない。
一人でいようとしたつもりがこんな場所で、人がいるのを確かめてる。
居場所がないと言いながら、居場所を作りに来る。
人にとっては、あんたはただの見知らぬ人。
でも、あんたの記憶の中じゃ、
もうこの店も、いや、店っていっちゃいけなかったね、この家も、
ここの主人も、みんな知り合いのように思えているだろう?」
彼女は小さく頷く。

「そして、私が話し掛けた事で、あんたは、私とも知り合いだよ。
そういう風に、人ってのは繋がっていく。
そして、そこはあんたの居場所になる。」
そういうと初老の女は、また、カウンターに戻って世間話をはじめた。

彼女は、何も言わずに外に出る。
そして、彼女は表の看板、いや、表札を見る。
しゃれた洋風の文字で「イブ」と書いてある。
彼女は一つため息をついて、家へと帰っていった…。


Σ( ̄□ ̄;) えび - 2001/05/21(Mon) 12:41 No.164   <HOME>

説教くさくなってしまった。スイマセンm(__)m
「伊武」さんは、カタカナで書くと、妙にしゃれてますよね〜(笑)
他の名前でも良かったかな…。


間違えた! えび - 2001/05/21(Mon) 12:42 No.165   <HOME>

↑蛇足でした。


おもしろかったです♪ えも - 2001/05/26(Sat) 16:05 No.166   <HOME>

遅れましたが、ラストまで読ませていただきました。
とってもよかったです!(自分が承を書かせてもらいながら。。)
みゅうさんの、少し不思議な起からはじまって、あらたにさんの、意外な展開。そしてえびさんのすばらしいラスト。自分が参加させてもらいながら、私、この作品大好きになりました。
人はひとりを望んでも、結局一人でいるのを怖がっているのかもしれないな、と思いました。
とってもおもしろかったです。
P.Sただ三人称というのが、難しかったです。

定義みたいなものはあるのでしょうか?ごめんなさい、私勉強不足名もので(^^;


実感ですね のがぁ - 2001/06/10(Sun) 03:37 No.174  

拝読させて頂きました。
こんな場所に巡り合えたら、素敵ですね。

私は相手されない人間じゃありません(……と思う)けど、気ままに一人で動く方が好きなタイプで。知り合いが行きそうに無いところも、いくつか知ってます。
でも、常連なのはコンビニと、チェーン店の定食屋くらいなもんですが(^^;)
気ままに入り浸れるところ、1つくらい見つけたいものです。


■018■
ドア 投稿者:ぱんだ 投稿日:2001/05/03(Thu) 16:48:36 No.144   <HOME>
私の目の前にはドアがあった。


Re: ドア みゅう - 2001/05/04(Fri) 00:06:18 No.148   <HOME>

たった今、私の前で閉められたドア。
私を拒絶するドア。
私に対してこのドアが再び開くことは無いのだろう。


意地悪な引きですか? あらたにたけし - 2001/05/07(Mon) 18:20:38 No.150  

「人はいつまでも同じ場所には立ち止まっていられぬものさ」
 私はそううそぶいてドアに背を向ける。
 未練があるならば泣けばいい。縁の切れ目を喜ぶなら笑えば好い。
『さあ、おまえは何を望む?』
 風にゆれる街路樹が暗い影で問い掛ける。
『さてね』
 私はわずかに口元に笑みを湛えて歩き出した。
 私はドアから遠ざかる。あるいは、ドアが私から遠ざかるのか。
『何故、おまえは去り行くのだろうな?』
 風のざわめきにガス灯の燈が細く揺らいだ。
 私は足音をコツコツと響かせながらそれに答えた。
『それはな……』


く〜〜〜〜 ぴーしゅけ (oёo) - 2001/05/14(Mon) 22:24:22 No.152   <HOME>

『お前が次の一歩を踏み出せぬ弱虫だからさ。

誰しも新たな一歩を踏み出すことは恐ろしい。
石につまづいて転ぶかもしれない。
思わぬ落とし穴が待ち受けているやも知れぬ。
そんな恐怖は誰もがいだくものなのだ』

私は立ち止まる。
街路樹が風にざわざわとうごめいていた。

『しかし、それでもヒトは前に歩かねばならぬよ。
閉ざされたドアをこじ開けてでも、前へ進まねば生きては行けぬのよ』

「黙れ」
『お前は弱虫の卑怯者だ。進む前に諦める。その方が痛みが少ないからだ。傷つく事がないからだ』
「黙れ、黙れ」
『そして、お前は置き去りにされる。
ただ一人、その場に立ちすくんで・・・お前は本当に満足か?』

「・・・・」
私の目の前で閉ざされたドア。
私を拒絶するように、立ちはだかる巨大な壁。

扉を閉ざしたのは私自身?壁がとてつもなく、高くそびえて見えるのは・・・これも私が作り出した幻なのか?

ガス灯の燈が細く揺らめく。私の長く伸びた影が頼りなげに薄く・・濃く・・その濃度を変えていく。

『ねえ・・・』
『ねえ、行ってみようよ。このドアの向こうへ・・』
私の影が誘っていた。薄く・・・濃く・・頼りなげに・・
それでも、私を誘っていた。


ダメだぁ〜!! ぴーしゅけ (oёo) - 2001/05/14(Mon) 22:27:13 No.153   <HOME>

あらたにさ〜〜ん
これは難しいよ〜〜〜!こんなもんしか書けなかったよ〜〜〜!!
未熟モノで申し訳ない。<(_ _)>


リレー小説について。 ぱんだ - 2001/05/15(Tue) 00:58:37 No.154   <HOME>

あらたにさんの転は難しいですねー。
なかなか完結しないんで僕が終わらせようとも思ったんですが、書けませんでした(^-^;

リレー小説の醍醐味は自由さにあるのではないでしょうか?
次の話をどういう風にでも作れるという形で次の人にバトンパスする。
それにより、次の文章を考える楽しさ、そして想像もしなかったような話を読む楽しさが生まれるのだと思います。
次に繋ぐ話が決まってしまうようなバトンパス、また、繋ぐ話に困ってしまうようなバトンパスはあまりよくないのではないでしょうか?
その辺をよく考えて書けるといいと思いました。

以前僕もちょっと続きを書くのが難しいものを書いてしまって後悔をしたので。

蛇足でした。


Re: ドア ぴーしゅけ (oёo) - 2001/05/15(Tue) 09:46:45 No.155   <HOME>

確かにあらたにさんの転は難しかったですね。長くレスの付かない小説は、このコンテンツを始めた管理人の立場として責任を持つ所存でありますが、これは・・・ちょっとチグハグな結ですよね。すみません。

今回ばかりは、ホンキのホンキでどなたかのレスを期待していた私でしたが・・・パンダさん、書いて欲しかったよぉ(笑)

リレー小説に置ける自由度。なるほど、それはそうかもしれない。
それも一つの考えですし、敢えて難しいお題に挑戦する!っていうのも、また別のイミでの醍醐味かもしれない。
なかなかムズカシイ問題ですが、まあ、人の考え方はそれぞれ。みなさんの思うように書いて頂ければ結構です。
レスの付きにくいものを書かれた方は、の〜んびりと待ちましょう。
私も文章修行と思って、死ぬ気で喰らいついてみますですよ(笑)
あらたにさん、これに懲りずに、次回もヨロシク。
パンダ国王もご意見くださって、ありがとうね〜。


いや、申し訳ないです。 あらたにたけし - 2001/05/15(Tue) 13:58:09 No.156  

いや、あまりに「起」、「承」までで物語が展開していなかったので
あえて「固ゆで卵」風に無理やり引っ張ってみたのですがやはり難しかったみたいですね…申し訳ないです(そう考えるとやはりハードボイルド小説って一般的でないのだなぁ…)。
というより、もともと「小説を最後の一文を考えてから書く」タイプの人間なんもので、やはり私にはリレー小説は向かないらしいです。
ご迷惑をおかけしました。


Re: ドア ぴーしゅけ (oёo) - 2001/05/17(Thu) 10:18:19 No.157   <HOME>

あらたにさんはハードボイルド小説をお書きになるんですか。
すみません。全然ハードボイルドな結になりませんでしたね。
迷惑だなんてとんでもないです。勉強させて頂きました。


Re: ドア ときまつ - 2001/05/17(Thu) 15:08:56 No.158   <HOME>

難しいものになったのかも知れないけど、私はこれはなかなか面白いと思ってましたよ。
私も結を考えていたんですが、すでに遅しでした(^-^)
ぴーしゅけさん、上手にまとめてると私は思います(^-^)
とにかく色々な作品が出てくるのを私は楽しみにしています。
みなさ〜ん、頑張ってね〜
私も頑張りたい〜


 (ノToT)ノ あとのまつり・・ ぴーしゅけ (oёo) - 2001/05/17(Thu) 21:33:33 No.159   <HOME>

しまった〜〜〜!!
ときまつさんを待っていれば良かったよぉ〜〜〜!!
 。・゜゜・(>_<;)・゜゜・。 ウエーン 

 (;^o^) \(ToT ) 私のバカ、バカ、バカァ〜!!


■017■
ナイフ 投稿者:ぱんだ 投稿日:2001/05/02(Wed) 01:30:03 No.138   <HOME>
私の右手にはナイフが握られていた。


Re: ナイフ ときまつ - 2001/05/02(Wed) 09:04:55 No.139   <HOME>

 左手には食べかけのパンを握っている。目の前のテーブルには赤ワインとカマンベールチーズが並んでいる。
 今、私は何をしようとしていたんだっけ?
 当たりを見渡してみた。
 ここはどこだ? 私のうちじゃないぞ。テレビが朝の天気予報を伝えている。


Re: ナイフ みゅう - 2001/05/02(Wed) 23:59:26 No.141  

わずかにあけた窓からさわやかな風が入り込んで、白いレースのカーテンがゆれている。
TVドラマに出てきそうな、とてもセンスの良い、しかし生活感のない部屋だ。まるでモデルルームのようだ。
低いチェストのその上、白い壁にかけられたおしゃれな鏡に、うろたえた顔が映っている。
これが私?
私はこんな顔をしていただろうか。
そもそも、私は一体、誰だ? 名前は? 歳は? 仕事は?


Re: ナイフ えも - 2001/05/03(Thu) 13:29:35 No.142  

………。
少しの間考え込んでいると、私は手に握られていたナイフをじっとみつめた。
不思議な事に、自分の事すら思い出せない私の心の記憶の中に、ただ一つだけ、このナイフに見覚えがある気がした。
そのナイフは私にとって、懐かしくもあり、優しくもあり、そして残酷でもある、そんな気がした。


ああ、思い出した。私は今まで生きてきた自分の人生に見切りをつけるために、自らの人生の糸というものをナイフで切り裂いたのだ。
だから、自ら切り裂く前の記憶は、どう頑張っても思い出せない。
私は自分の人生に見切りをつける事に成功したのだ。

しかし…。一体ここはどこだ??
ここから、私の新しい人生が始まるというのか。
何もかもが一から始まるのだろうか。

私は、少し不安だった。と同時に今から新しい人生が始まるのかと思うと、少し、期待に胸を膨らませずにはいられなかった。


Re: ナイフ えも - 2001/05/03(Thu) 13:34:29 No.143  

昨日、『転』を書こうかなと思っていたら、みゅうさんが上手に『転』を書かれていて、思わず私が書かなくてよかったと思いました(笑)
でも、どうしても書きたかったので、『結』をまた書かせて頂いちゃいました。前回も書いたのに、スミマセン。。
でもどうしても楽しいので、やめられません(^^*)


Re: ナイフ  ときまつ - 2001/05/03(Thu) 23:14:43 No.145  

おお〜私が新幹線に乗っている間に簡潔してる〜(笑)
とてもシュールな作品に仕上がりましたね。おもしろ〜い!


Re: ナイフ みゅう - 2001/05/03(Thu) 23:42:16 No.146  

うわ〜、もう完結してるぅ。
えもさんて「結」書くのお上手ですねぇ。こーゆー風になるとは……
良い意味でとてもショックです。
みなさん、発想が豊かで羨ましいです。


■016■
うずうずしてるので、書いてみた。 投稿者:オカザキレオ 投稿日:2001/04/27(Fri) 21:02:47 No.130   <HOME>
 人間てのは勝手なものだ。今さら始まった事じゃないけどね。
 僕は野良猫の虎丸。最初の飼い主が僕にそうつけた。その後、飼い主は僕を捨て野良猫生活と飼い猫生活を転々として、不安定極まりない生活をしている。人間なら仕事をやめれば失業保険がでるけど、猫には野良猫保健はでない。ただ、冷たい現実が牙をむけて僕らを待ち構えている。
 何人かの人間は僕に様々な名前をつけた。が、どうでもいい。僕は虎丸という名前を誇りにしている。その僕の最初の飼い主(考えてみればなんて傲慢な表現をするんだろうね、人間ってヤツは)だった人間を僕は、今でも愛している。捨てられても悲しくなかった。だって仕方なかったんだ。あの子はまだ四歳。引っ越し先に僕は一緒に行けないのだ。両親はヒステリックにその子を説得する。その子は泣いた。たくさん泣いた。本当に僕の事を想って泣いてくれた。僕はそれだけで充分だったんだ。
 君の気持ちが嬉しかった。
 それだけで満足だった。僕ら猫は人間に永久に隷属したいなんて思ってないから。
 飼われるという事を猫はもっとも嫌うから。
 人間の押しつけがましい気持ちなんて、猫にはうっとおしいだけだから。
 でも嬉しかった。君のその涙の重さを僕は忘れない。だから、僕は今だに虎丸の名前を捨てないでいる。



 またか。本当に人間ってのは勝手な生き物だ。
 僕はため息をつく。それを可愛い、と無造作に撫でてくる。あのねぇ、と僕はその女の子に言いたい。いくら可愛いからって、貴方は異性の胸なり何なりを撫で回すかい? 人間の馬鹿にして短絡的な思考にはいつも腹がたつ。
 彼女は僕を抱き上げた。
 僕は敵意の意志を両目にたたえる。
 僕は容赦なく爪を伸ばし、彼女の頬に傷をつけた。


初参加。次お願いします 蝸牛 - 2001/04/29(Sun) 23:44:53 No.131  

ツゥー・・・
彼女の頬から、血がにじみ出て、わずかに滴った。
彼女はびっくりしたように頬を触り、そして傷に触った。
手に、赤い血がついた。

普通だったら、ここで「いたーい!」とか言いながら、
大抵の女の子は僕を放すだろう。
自分を傷つけた対象をいつまでも可愛がるわけは無い。
可愛いといいながら触ってきていた奴らが、どんなに憎々しげに僕を見るか、野良を経験してきた僕には分かっていた。
だが、彼女は違った。
どういえばいいのか、彼女は僕に対して敵意を持たなかった。
傷から出た血を見た瞬間、彼女は泣きそうな顔をした。
そして、悲しげな微笑を浮かべて、僕をゆっくり地に戻した。
そして、呟くように言ったのだ。
「私が嫌だったのね。急に触ったり抱き上げたりしてごめんなさい」
野良にそんな言葉をかけてくれた人はいなかった。

ゆっくりときびすを返すその女の子の姿を見送りながら、僕は唐突に悟っていた。
彼女はさびしかったのだ。今の彼女には僕が必要だったのだろう。
彼女を他の女の子と同列に扱い、傷をつけてしまった子とを、急に後悔した。
「ニャー」
僕は一声泣いてからその女の子を追いかけた。


ラストよろしく ときまつ - 2001/04/30(Mon) 09:02:30 No.132   <HOME>

 すぐに追い付いた僕に女の子は驚いた。
「どうしたの?抱っこさせてくれるの?」
 女の子はそっと僕を抱きかかえ、背中を優しくなでる。
「あったかいね、抱かせてくれてありがとうね」
 そう言いながら女の子のほほを伝って涙が僕の毛皮を濡らした。
『悲しいことがあったのか? 飼っていた猫が死んだとか、彼氏にふられたとか?』
 伝わる訳がないと思いつつ、猫語で言ってみた。
『いいえ』
 え? どういうことだ? 女の子は僕の猫語に猫語で答えてきたじゃないか。
『私ね、本当は猫なの。人間として生活しているけど、本当は猫なの。だから猫を見るとつい側にいきたくなるし、優しい毛皮を撫でたくなるの。私にも昔あった毛皮を』

 僕のお気に入りの公園へ誘うと女の子はついてきた。ふたりで日当たりの良い場所を選んで座ると、女の子はひとりで話始めた。僕は黙って聞いていた。
「私たち猫族は心の底から『人間になりたい』って思えば人間になれる力を持っているのよ、私はその力で人間になったの。人間になったことは後悔してないわ。毎日がとても楽しいもの」
 女の子の笑顔が少し曇り、ちょっとだけ寂しい目をしてこう付け加えた。
「でもね、一度人間になってしまうと元には戻れないのよ」


ちょっと長くなっちゃった(^^; えも - 2001/04/30(Mon) 14:28:08 No.133  

「あなた、虎丸だよね。」
女の子が、虎丸という名前を口にして、僕は驚いてしまった。その名前を知っているのは、僕の最初の飼い主だった、あの四歳の女の子だけだった。
あれからもう何年もたっていたから今まで気付かなかったけれど、目の前にいる女の子には、どことなく昔の彼女の面影が残っていた。

僕が、彼女の名前を呟くと、彼女はコクン、と頷いた。

「私、あなたを家で飼い始めた時、あなたの気持ちが手にとるように分かったの。
私もあなたと同じ、猫だったから。私、こうして人間になる前は、ずっと野良猫をやっていたの。
でも私には耐えられなかった。毎日、孤独や寂しさや、いろんなものとのたたかいに。
それで、私は人間になった。孤独の渦から抜け出す為に。」

そう言うと、彼女の目から、また涙がこぼれた。
「私、人間として生きて、あなたと生活をして、それがとても愛しかった。ずっと、一緒にいたいって思っていたわ。
だけど、私はあなたを捨ててしまった。孤独の辛さを、私は身をもって分かっていたはずなのに。
でも、人間の幼い私には、何も出来なかった。私がせめて野良猫だったら。私はあなたの事をずっと走り回って探しつづけたわ。
でも、もう私は人間として生きていかなければならなかった。あなたを、辛い生活へとたたきおとして。」

彼女は、背中をぴくぴく動かしながら、静かに泣いていた。昔の彼女と、今の彼女の泣いている姿が重なって目に見える気がした。
僕は彼女の膝の上にのって、ちょこんと座ると、彼女の涙を拭うように、ぺろりとほほをなめてやった。
彼女は、僕のほうに顔を向けた。
(ごめんね。)言葉ではなく、彼女の表情がそう言っていた。

『いいさ。』僕は言った。
『それだけ君が僕の事を思っていてくれただけで、本当に嬉しいよ。だからもう泣かないで。僕が君の事を忘れなかったように、君も僕の事を思っていてくれたんだね。ありがとう。』
そう言うと、彼女の表情が少し温かい色に変わっていくのが分かった。

僕は、人間になりたいと思った。心の底から。そして、彼女と一緒に生きてゆきたいと思った。
彼女と一緒に時を過ごして、そして二人で猫を一匹飼うんだ。うんと、愛情を込めて。
二人の愛が猫にも充分すぎるくらい猫にも届くように。


すみません! えも - 2001/04/30(Mon) 14:32:33 No.134  

すみません!また間違えちゃいました(*_*)ゝ
上のアイコンは、「結」です。そそっかしいのは昔から直りません(泣)
リレー小説は面白いですね!お話を書くのも読むのもたのしいです♪
次はどんなお話が出来るのかな。。


面白かったです〜 蝸牛 - 2001/04/30(Mon) 15:39:23 No.135  

自分で考えるだけだと、どうしても偏ったりしがちですが、
皆さんと書くといろいろなお話や結末ができるんですね。
また参加させてくださいねー (*^−^*)


おお〜もう完結してる(≧∇≦) ときまつ - 2001/04/30(Mon) 16:37:29 No.136   <HOME>

今朝、転を書いたばかりなのに、もう完結してる〜
えもさん、ありがと〜〜〜!
素敵に終わらせて下さって嬉しいです。
題材が良かったのかな〜
リレー小説は楽しいね〜(*^-^*)


完結してるよぅぅぅ! オカザキレオ - 2001/05/01(Tue) 21:34:06 No.137   <HOME>

なんか「起」を書いたのがちゃんと完結しているのを読んで、なんか感動もヒトシオにございまする。
猫好きの僕としては大満足。
以外な展開にほーほー。
リレー小説は面白いですのぅ。唾はどんなお話しになるんだろうか。楽しみ楽しみ。


楽しかった〜♪ えも - 2001/05/02(Wed) 10:45:05 No.140  

私も楽しかったです〜♪
参加させて頂いてどうもです(^^*)
猫が主人公っていうの、面白かったなぁ。
皆さんと書くと、ひとりでは発想できないようなお話ができちゃうんですね〜。
私もまた参加させて下さいね☆


あれぇ? みゅう - 2001/05/03(Thu) 23:58:41 No.147   <HOME>

確か、昨夜ここに感想を書いた筈なんだけどなぁ……
悔しいからもっかい書こうっと。

この話、スゴイ好きですぅ(*^^*)。
猫好きだってゆーのもあるけど(^^;;)。
なんか、せつないような、ちょっと不思議なお話ですよね。
とっても感動した一品でした(^^)。





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