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 TOPエッセイ僕らはみんな生きている>02

■006 恐怖なり!感染現場!!






006 恐怖なり!感染現場!!

 入院しちゃうと、お風呂ってあんまり縁がなくなる。病状にもよるけど、大抵は週1回くらいしか入れない。
どうせ、1日のほとんどは寝てるんだし、看護婦さんに頼めば、清拭(せいしき)つって、熱いタオルで体を拭いてもくれるんだし。まあ、もともと具合が悪くて入院してるんだから、あまりゼイタク言っちゃあイケナイよってことでしょうか?

とーこーろーがー。
私の病名は「アトピー性皮膚炎」。まあ、病院側の考え方もあるのでしょうが(あと、設備面の問題とかも)、私の入院していた病院は、入浴も治療の一環と考えていて、お陰さまで入院中も毎日お風呂に入れてたんでありました。

私は大のお風呂好きでありまして、これはとってもありがたかった。実際お風呂に入ったほうがアレルギーの調子も良いし。で。当然、これは治療の一環なんでありますからして、皮膚系以外の人は通常週に1回しか、お風呂入れないんだよね。
他の病名のみなさまのシットの視線を受けながら、鼻歌混じりに今日も楽しく朝風呂へ。
いっしっし・・・。役得(入院してて、ナニ言ってんだか)じゃのぅ・・・。

・・・と。まあ、こんな、オハラショウスケさんのような入院生活を送っていたワタクシだったのでした。(朝寝、朝風呂。流石に朝酒はなかったが)

とーこーろーがー。
ある日、私は怖い話を聞いてしまったんであります。
病院。しかも、皮膚科での風呂は恐怖の感染現場じゃ、と。

皮膚科の患者さんは、アトピーだけではモチロンありません。中には伝染性の病名の方だって、当然いらっしゃるのです。病院側だって、一応は考えてはいるそうで、とっても怖〜い伝染性皮膚病の方は、もちろんお風呂にゃ入れませんが、病院側がちっとも気にしていない伝染性の皮膚病があるんだそうです。

つまり、移ったところで大して大げさに騒ぐほどのことじゃあない、というような。
しかし、それは、当時のワタクシのような「うら若きお嬢さん」にとっては、まさしく致命的!とも言える伝染性皮膚病でした。

ワカル?
アレよ。アレ! ミ・ズ・ム・シ!!!

この、白癬菌というカビだかなんだかが引き起こす皮膚感染症は、移っても当然命には関わりません。しかし、女の子にとっては、名誉と尊厳に関わるんではないかと思います。 病院内での入浴では、とにかくコレに感染し易い。しかも、皮膚科の患者は元々肌が弱い。だから、更に輪をかけてかかりやすい、という訳です。

私は恐怖しました。戦慄しました。身震いしました。
即座に売店で新しいスリッパを購入し、お風呂専用に致しました。お風呂への行き戻りにはそれを利用し、病室に戻ってから、これまた専用のタオルで丁寧に足を拭くことにしたのであります。

対処法が良かったのか、幸い不名誉な感染もなく退院できました。
しかし、それ以来、私は温泉旅館でも、お風呂から上がったら絶対に足を拭く女になってしまったのでございます。楽しい筈の温泉の大浴場さえも恐怖の感染現場と感じるようになってしまったわけですね。

皮膚が弱いって、けっこうカナシイ・・・。
温泉につかるたび、そう思うワタクシでありました。



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