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#MY BEST BOOKS 2007上半期
2007年6月25日(月)

数えてみたら、今年上半期に読んだ本と漫画の総数は149冊でしタ(漫画のシリーズは1冊として換算)。
で、昨年末もやったけど、今年は上半期と下半期に分けて読んだ本(&漫画)のBEST10を書き出してみるよ。ちなみに、解説文は日々付けている我が「読了日記」からの抜粋なので、読みにくい&通じにくい部分はご容赦。ほんでは読んだ順でいきまーす。

MY BEST BOOKS 2007上半期

『袋小路の男』
絲山秋子 講談社 ASIN:4062126184

第30回川端康成文学賞受賞。
表題作「袋小路の男」と同じ登場人物で視点を切り替え、時間が経過した「小田切孝の言い分」と、姪っ子と叔父との手紙のやり取りが引き立つ「アーリオ オーリオ」の三編。「純愛小説」と謳ってある。多分純愛なんだろう。私は人間の弱さと強さを語った物語だと思ったガ。

『言わなければよかったのに日記』
深沢七郎 中央公論社 ASIN:4122014662

「楢山節考」の作家の日記。面白そうなので買ってみた。この作者は善人だ。善人と馬鹿の区別がつかないくらいのすげぇ善人。されど決して馬鹿には非ず。これまでに読んだエッセイ(?)の中でも五指に入る。他のも全部読みたいが絶版みたいだ。チキショー。特に『流浪の手記』を読ませろっっ!

『にあんちゃん 十歳の少女の日記』
安本末子 西日本新聞社 ASIN:4816705759

二番目の兄ちゃんだから「にあんちゃん」。両親を亡くした少女が兄らと懸命に生きていく。
10才の少女の日記だが、この出版経緯が面白い。炭坑で働き疲れ病に倒れた長兄。一家離散の危機である。病床で長兄は末妹の日記を読む。貧しさにヒクツになることもなく、子どもらしい純粋な心を綴った日記に心を打たれた長兄は「これを自分だけが読むのは勿体ない」と出版社に送る。これが後の社長(だったと思う)である一編集者の目に留まり、本が出版されると時代の後押しもあって大ベストセラーに。そのお陰でこの兄弟は金銭的に救われて、長兄の療養資金も賄える。にあんちゃんと末妹はなんと大学の進学資金まで得るのである。
暮らしに困り末妹が遠くの家に預けられてしまった時、それを知ったにあんちゃんは「二度と妹に会えなくなるかも知れない」と直ちに中学の先生に金を借り、妹を連れ戻しに行った……と後書きにあるが、このようなにあんちゃんの男気も本書の読み応えの一つである。

『残虐記』
桐野夏生 新潮社 ASIN:4104667013

誘拐された10才の少女と誘拐犯のケンジの一年間。そして解放された少女のその後。 「みっちゃん」とは誰か? ヤタベさんの存在。そして宮坂検事。読み始めると止まらない一冊。タイトルは「残虐」だが、決して流血とかの安っぽい残虐ではないゾ。

『終末のフール』
伊坂 幸太郎 集英社 ASIN:4087748030

「8年後に小惑星が突入して地球は崩壊する!」と報道されてから早5年。略奪、暴動などはあらかた治まって、一時の平和が訪れている。そんな時代、仙台のとあるマンション群の中に住む人々の人間模様。短編シリーズ。後になるほど良い。

『卵の緒』
瀬尾 まいこ マガジンハウス ASIN:4838713886

第7回坊っちゃん文学大賞受賞作。
自分が拾われたと疑いを持ちつつも幸せな少年「卵の緒」と、父の愛人の子(異母弟)を引き取る娘の話「7’blood」の2編。読後感が優れて良い。トコロデ、内容と表紙の絵が全くそぐわないように思うのだガ、どうよ?

『光ってみえるもの、あれは』
川上弘美 中央公論新社 ASIN:4122047595

「ああ、やっぱり僕は早く大人になりたい」と思っている江戸翠、十六歳の少年の青春。親友の男の子が面白いキャラだ。
泣かないんだけど泣いたなぁ。なんつーか、そんな感じの読後感。

『眠れる美女』
川端康成 新潮社 ASIN:4101001200(13桁 9784101001203)
『眠れる美女』6人の正体なく眠らされた少女との一夜を提供する宿。そこを訪れる老人。
『片腕』少女に(体から取り外した)片腕を借りて、それと添い寝する男の話。腕がしゃべる。可愛くてコワイw。
この2編が特に好き。川端氏はロリなんだろうなぁ。。。

『海街diary 1』
吉田 秋生 小学館 ASIN:4091670253(13桁 9784091670250)

鎌倉に住む姉妹を中心に話は進む。続刊のようなので、今後にも期待。
「漫画を読むと馬鹿になる」とかのたまう輩には、この本を投げつけてやるべきだろう。

『夢幻紳士 迷宮篇』
高橋 葉介 早川書房 ASIN:4152088206(13桁 9784152088208)

『夢幻紳士 幻想篇』ASIN:4152086297(13桁 9784152086297)、『夢幻紳士 逢魔篇』ASIN:4152087161(13桁 9784152087164)、そしてこの『夢幻紳士 迷宮篇』を含めて三部作。どれか一冊だけでも話は通じる。が、3冊セットだと更にシアワセ。
『幻想篇』は夢幻魔実也が莫大な遺産を相続した故に命を狙われる「僕」を守るお話。
『逢魔篇』は料亭で飲み続ける夢幻魔実也と、そこに集う妖怪どもの一夜である。少女「手の目」がむっちゃカワイイ。
『迷宮篇』では夢幻魔実也が命を狙われる。仕組まれた殺意が三部作全てを繋げ、やがて謎と仕掛けが解き明かされる。三作全てに共通したラストシーン「僕の名は……」という台詞がたまんねーっっ。
ここまで惚れ込んだ漫画は久しぶりだ。最後の『迷宮篇』なんざ、凄すぎて読後に数日間呆けた。この作者、神憑ってるよ。そうでないとこうは描けまい。話も絵も素晴らしいが、何より夢幻魔実也に惚れる。
青年・夢幻魔実也は元々好きだが、この三部作は特に大人味。絵も墨絵風というか、ペンタッチでない部分がある。世界をそれで描き分けている。「私が死んだら棺桶に入れてくれい」と言っている本が数冊あるが、この3冊も仲間入りだ。
ああ、補足。流血苦手組には向かないかも。いや、ホントはそれでも読んで欲しいんだケド。

※書影はamazonさん、楽天ブックスさんなどよりガメております。ごめんなさい。

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