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2009年02月 の日記  ↓下ニ至ル

#剥き身の千円
2009年2月2日(月)

電話口からほくほくの声がした。「どした?」と訊くと、母が「千円拾った」と言う。
遊歩道に沿ってずっと続くコンクリ塀。その上に剥き身の千円札が一枚、ぽつと置かれていたらしい。小石の重しを載せられて、北風に四隅をひらめかせていたそうだ。んで、母はそれを、
「うはは」
と笑いつつ、ちゃっちゃとガめた。ほくほくと説明されましタが、ちっとも意味がワカランぞ。

一般に金を拾うといって、十円だの五百円だの小銭はある。札の入った財布を拾うことも、まぁ、ある。
しかし、剥き身の千円札というのは珍であろう。しかも、小石の重し付きで塀の上に、とな? 「拾う」場合、「落とした」ものでなければなるまい。その千円札には明らかに人的作為の痕跡があるぞ。母よ、それはマコトに落とし物かや? そんな怪しげ不確かなモノをばチャカっと拾うんじゃありません。七十かと思ったら、アンタは一体三歳児か。

「薄気味悪いなぁ、。それは怪しげな取引の割り符じゃないの? 半分でギザギザに千切れた札じゃなかろうね?」
「お前はアホか」 と母が言い、
「確かにアホだが、アンタの遺伝じゃ」 と娘が返し。
そのうち、母が面白い推理を語り始めた。剥き身の千円・重し付きの謎についてだ。

母の想像するところ。この千円札は誰かの懐から風で飛ばされるかなんかして、遊歩道を枯葉と一緒にひらひら舞ってたのでなければ筋が通らぬ、のだそうだ。
「そこに通りかかったのが、中年おばさんの二人連れ」
と、母は断言する。
「ひどく親しい仲じゃないの。せいぜいご近所付き合いで、スーパーだかの帰りが一緒になっちゃって、仕方なし世間話しながら歩いててね。その足下に舞い込んだとよ」
「千円札?」
「決まっとるたい。おばさんの一人が拾うたさ」
見ていたように語るのである。

そして、「あら奥さん、見てよ、千円!」、「まぁ、誰が落としたとやろか?」なんて言い合って、キョロキョロ辺りを見回した挙げ句、手近の塀の上にそのお札を置いたのだ。風に飛ばされぬよう重しも載せて。「落とし主が見つけるとよかねぇ」なんて言いながら。

何故、折角拾った千円札を置いたのか? ここで先程の人物設定が生きてくる、と母の口調にも熱が篭もる。
「若い人達なら千円は置くには惜しい金額。おばさんで親しい間柄なら、得したねーって山分けさ。おばさんでもその場に居たのが三人以上なら、『折角だし奥さん貰っとけば』、『そうよ、そうよ』って風になる。わざわざ拾った物を置いていくのは、そんなに親しくはないけれど、お互いを知っていて、その人の前でたかだかの千円を拾うのに気が咎めたとよ。つまり、アレは世間体の成せる技!」

「ほほーぅ」
面白い見解だなと思った。重し千円の理屈がついたように思われる。そうかー、おばさん同士の牽制の名残か。
「んで、おばさんが一人なら、世間体も気にせずに、ちゃかちゃかっと拾うんだ、と?」
「そうさ、お金は大事にせんとね」
往年のおばさんはほくほく応える。既に夕飯の刺身に化けた由。落とし主様宛、御免下さい。

追記:コメントを頂きました。その中から。
>>ふつーに届けて、落とし主が現れなかった後に満額もらえばよかったのでは?と思っちゃいました。
世間体を気にして届けても、剥き身の千円の紛失を届け出るひとはいないだろうし。
「くそー、損した!」で終わりだもん。きっと。

+++届け出て手続きして、後日また受け取りに行ってそこでも手続き……という手間に千円は見合わなかったということではないでしょうか。あと、財布込みならともかく、千円一枚の届け出って大人は持ち込みにくい気がしますが如何?
>>母上さまの見解に、賛成!
+++1円を笑う者は1円に……というからね。翌日は雨だったそうなので。おゼゼを風雨に晒しちゃアカンよね。

#1000÷20
2009年2月10日(火)

脳みそ停滞この上ない。
木の芽時には私も芽吹く。なんかロクでもないもんが。顔の皮がアレルギーじみて、ぱらぱら舞い散ったりしてて、そんで、脳みそはぼーーーーーっとしてる。澱んで濁って沈殿。頭の中身ヘドロの如し。

どんくらいぼーっとしてるかと言うと、風呂から上がって体を拭きつつ、「あれ、私、ちゃんと体洗ったっけ?」とか思う。洗濯用の柔軟剤が切れたので、詰め替え用を買ってきたら、空のボトルをいつの間にか捨てていて、詰め替えようにも詰め替えられぬ事態となり、もう一度ボトルを買いに走ったりする。そんな感じ。危なっかしくて、うっかり自分に重要な案件を任せられない。いや、私の日常で重要な案件などそう滅多にありゃしないガ。

ロクでもない脳みそには軽作業を与えて活性化させるべし、と思って、Akabei Monitorというソフトのskinを作らせてみた。ら。画像ファイルのサイズを割り出すために必要な「1000÷20」という式がなんと暗算出来ぬのじゃった。……5、5。その後ろに0は幾つ付くんじゃい!? とうとう筆算した。もうダメだ、この脳みそ。早くなんとかしないと。

それにしてもさ。「1000÷20」の正解の「50」って少なすぎる気がしない? 勿論「500」だと多すぎだけども、仮にも「1000」をたかだか「20」で割るというのに、解答「50」ってどうなのよ? 数学的には確かに割り切れる数であるが、心情的にはちっとも割り切れないのである。1000を20で割ったなら、80くらいはあっても良かろう。っつーか、あって欲しいよ。おまけしようよ。そういうより良き社会になぁれ! ……ロクでもない脳みそはロクなコトを思考しない。っていうか、意味がワカラナイ。。。
作ったskin01 作ったskin02
作成したAkabei Monitor用skin。余所様の素材を利用しました。個人のデスクトップで利用するのみ。配布したりはしないので、加工ご容赦下しぃ。CPUに応じてペンギンさんが動くんだ。ごみ箱Fullだと玉子からヒヨコもうまれちゃう。可愛いゾ。

追記:コメントを頂きました。その中の一つ。
>>1000個チロルチョコ買ってきて、20人で食べようと思うと一人50個食べなきゃいけない。と考えると、胃もたれしました。
+++それは胸焼けするーw

#ステキくじ
2009年2月13日(金)

スーパーにて。レジを済ませて買った物を袋詰めしていたら、背後から声が聞こえた。
「あらー、良かったねぇ、はーい」
どうやら、レジ打ちのおばちゃんと男の子が話をしているらしい。なにやら短いやり取りがあって、それから、
「当りますようにー!」
と、おばちゃんが声を張り上げた。

なんぞや? と思った。思うじゃないか、振り向いた。周りの人も振り向いた。そりゃそうだろう。ここは住宅地にある小さなスーパー。宝くじの販売所ではないのである。

男の子は、当たりくじ付きの駄菓子のガムを持っていた。それが当ったらしいのである。もう一個ガムを貰って、そこでおばちゃんは件の台詞を言ったのだ。

隣のレジに立つ同僚さんが、
「やだぁ、もう、アンタ……」
と笑っていて、おばちゃんは、
「だって、次も当るとイイなぁーって思って」
なんて言ってて。
周り中、みんな笑っていた。億の金が動く宝くじは狂喜だろうが、数十円のくじは和やかだ。

で、ここ。以前の日記で書いた「にべもなくない女の子」と同店である。ホント、このスーパーの店員さんって皆さん揃って感じが良い。
「また、ステキな店員さんに出会えますようにー! 日記ネタが出来ますようにー!」

追記:コメントを頂きました。その中の一つ。
>>楽しいスーパーですね^^
そんな店が近くにあれば毎日でも買い物に行きたいですね〜

+++年配のお客さんにはさっと手を貸す。野菜がめちゃくちゃ安いなど、本当に良いスーパーです。

#チョコレート
2009年2月19日(木)

今年の我が家のバレンタインは一日早くやって来た。つまり、私が日を誤ってケーキを買ってきてしまったのだ。抜け作である。でも、まぁ、忘れ去っているトカ、贈る愛情もなくしてるトカ、そーゆーのよりは良かろうと(ケーキには賞味期限があります故)、その旨仕事から帰ったダンナちゃんに話したら、
「今日、13日の金曜なのに……」
と言われた。言われるまで全く失念していた。抜け放題だ。
13日の金曜日でもケーキは甘くて美味しかった。無問題。

んで、今になって気づいたガ、13日のケーキは普通にデザートとして出して、翌14日、改めてチョコを買いに行き、差し上げちまえば更に無問題ではなかったのカ。どうせコンビニのケーキだったし。。。

贈る愛情は果たして本気であったのか? 心中密かに自問する。

追記:コメントを頂きました。その中の一つ。
>>13日のケーキは切ったらジェイソンが出てきたりしますか?
+++ジェイソンは出ません。沢山食べると腹が出るのみ。

#乙で押忍
2009年2月23日(月)

母よりTelあり。風呂のリモコン(とは言わないか。台所から風呂の給湯などを遠隔操作可能な壁に取り付けられた操作パネルのこと。古い造りの社宅を渡り歩いている私達夫婦には夢のような未来装置)が壊れた由。壊れたのは昨日との事。何故、我が家の機械だの自分(「高発熱」や「膀胱炎になったー」など、主に健康面での被害を示す)だのは日曜・祝日の業者・病院がフル開店していない日に限って壊れるのか? と、八つ当たりされる。ふふん。なーに、ウチだって、大晦日に洗濯機が壊れたことや正月三箇日に夫婦でインフルエンザ感染がありまさぁね。不明で不毛な威張り合い(?)の応酬が続く。詳細省く。結局、風呂は直ったそうだ。よっしゃあ。

ガス会社の人は日曜もちゃんと来てくれたという。「休日で専門がいないので直せませんが」と断りつつ、「ガスは命に関わるから」と、「リモコンが壊れているだけ。風呂自体は本日使って差し支え無し」を雨の中、長い時間を費やして、きちんと確認してくれたそうだ。翌本日、専門来訪。完璧に直して下さったトカ。エエ話やー。ガス会社の中の人、乙!

祭日・休日・真夜中問わず、ひたむきに働く人たちが居る。回すのは偉い人かも知れないガ、日本を本当に支えているのは、きっと、こーゆー雨の中で傘を差し掛けてくれる秘書だの側近だのいない人。私は深く感謝する。でも、費用○万は高過ぎると思う。ガス会社の中の人、押忍!

#母とハハハとハヤシライス
2009年2月26日(木)

前回の続き。
風呂の修理を終えて、母は。何故かハヤシライスが無性に食べたくなったそうである。唐突な展開だガ、実際のTelでそう言ったんだからしょうがない。
うーむ、ハヤシライスを食べたい母とは。珍である。希有である。洋食と言わず、母は本来「肉をハゲシク好まぬ」質。草食動物なのである。証拠にウ○チが馬やウサギの彼の如くポロポロしてる(ネットでバラしたと知れたらコロされル)。だのに、ハヤシライスが食べたいだとぉー、天変地異に違いない。

母はハヤシライスを買いに行った。前述の如きで異常事態。恐らくは一過性の気の迷いである。故に、一食分のレトルトパックで超OK。ついでに夕飯の支度もラク出来てウルトラHappy。気の迷いに万歳! と喝采を謳いつつスーパーへ出向いたにも関わらず。

母:「……ルーば買うて来たとばい」
ズゴゴゴゴー(効果音)
母:「買ったものは仕方なかけんで作ったけど、箱書きに十食分って。半分使ったら五食とよぉぉー」
ズゴゴゴゴー(効果音)
母:「これ、食べきるのに何日掛かると? それでも、まだもう半分のルーが残っとるとよぉぉー」
ズゴ(以下略)

「なんでレトルト買おうとして、ルーの箱を買っちゃうの!?」
私が問うと、母は「だってさ」と開き直っタ。
「だって、滅多に食べないものを食べるんだから、なるべく美味しそうな写真の付いた箱を買おうと思って、一番美味しそうなのを買ったとやもン。まさかまさかルーだなんて、フタを開けるまで思いもせんやったとやもン」
「もン」 じゃねーーーーっっ!!!! カワイ子ぶってる歳じゃねぇぇーーーーーーーっっあsdfgフジ゙子!!!!!

母らしいと思った。母故に、と思うタ。
「ハハハ……」 と乾いた笑いが私の口から漏れている。

#縫製工場と世間体
2009年2月28日(土)

『縫製工場』+『世間体』。
これを何だとお思いか? この組み合わせからナニを思い浮かべますカ?
大手検索エンジンより、ウチの小説ページに飛んできた誰かさんの用いたキーワードである。

我がゴゴスイにては、小説まるっと一作を一ページに押し込んだ構造なもので、こういうことがまま起こる。つまり、小説なんてものに使われる単語はそれなりに多彩で、それが原稿用紙換算で数十枚分ともなると、冒頭部と結末の単語を合わせたごとき、全くこちらの意図しない、文脈的繋がりのない、的を外した検索結果がひょろっと犠牲者を呼び込むことも起きうるのであって、ごめんなさいと思うのである。……ホントだよ、ひたすら申し訳ございません。

で。更に申し訳ないのだが、私はこの「検索キーワード」を見るのが好きだ。
だって、「検索する」っつーことは、「興味がある」っつーことで、他人様の嗜好だの、時代の流行りだのの一端をそこから浮かべることが出来るから。小説書きたいと思うような厄介な輩は人間観察トカ好きなのよ。ンで、いつもナニかを求めてる。ネタ的なモノを。うん、多分。

デだな。例えば、
『スドウ』+『ランドセル』や『スカート』+『短すぎて丸見え』
なんてのは、その人が何に興味を持ち、何を欲してネットの海を彷徨っているのか。……うん、それなりに分かる。かなり。
でも、『縫製工場』+『世間体』は。
ワカランのである。意図が。検索者は何にたどり着きたくて、この二つの語句を同時に検索エンジンに掛けたのだ? 十分考え、三十分首を捻り、暇さえあれば、日がなこの検索者の人となりをシミュレーションしているのだが、出来ない。湧かないのである。むぅー、この人物、読めんっっ。

例えば、縫製工場の社長さんが自社の風評を探ったのだろうか? なれば、社名付きで検索したが早かろう。検索語句の入力ミスという線も疑ってみた。が、検索結果からウチへ飛んでいるのである。その挙げ句が履歴に残って、私を悩ましくしているのである。この線も望み薄だろう。

ならば、されば、とナイ知恵絞る。
昔文学少女だった母親の所業、というのでどうだ。昨今の不況で愛娘は良い就職口が見つからない。やっと見つかったのは縫製工場の派遣。母の脳裏をよぎるのは昔少女時代に読んだ「ああ野麦峠」であった。集団就職とか女工とか、古い死語が目蓋の裏にチカチカする。ああ、世間体が。娘の将来を案じ、母は検索エンジンへ。
……そんな莫迦な。っつーか、「野麦峠」って縫製工場でしたっけ? なんか違う。間違っている。この「母」シミュには納得出来ん。人物設定、ボツ。

ああ、『縫製工場』と『世間体』よ。
この前、『お札ひらひら』で日記ページに検索してきた人より以上に、気になって気になって、もう仕方がないのである。

追記:コメントを頂きました。その中から。
>>こういうことを日記に書かれると、自分の行動も盗み見られているみたいで、あまりいい気持ちはしません
+++申し訳ありません。バスに乗っていて、偶然隣の席に座ってきた人がどこの誰かは分からなくても「○○停留所から乗った」は分かる。ネットとは元からそういう「見える」ものです。
>>『スドウ』+『ランドセル』はそんな繋がりだったのか!
+++あ、ちゃいます。偶然です。スドウさんの名の由来は全然別にございます。


2009年02月 の日記




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