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190 縫製工場と世間体
2009年2月28日(土)

『縫製工場』+『世間体』。
これを何だとお思いか? この組み合わせからナニを思い浮かべますカ?
大手検索エンジンより、ウチの小説ページに飛んできた誰かさんの用いたキーワードである。

我がゴゴスイにては、小説まるっと一作を一ページに押し込んだ構造なもので、こういうことがまま起こる。つまり、小説なんてものに使われる単語はそれなりに多彩で、それが原稿用紙換算で数十枚分ともなると、冒頭部と結末の単語を合わせたごとき、全くこちらの意図しない、文脈的繋がりのない、的を外した検索結果がひょろっと犠牲者を呼び込むことも起きうるのであって、ごめんなさいと思うのである。……ホントだよ、ひたすら申し訳ございません。

で。更に申し訳ないのだが、私はこの「検索キーワード」を見るのが好きだ。
だって、「検索する」っつーことは、「興味がある」っつーことで、他人様の嗜好だの、時代の流行りだのの一端をそこから浮かべることが出来るから。小説書きたいと思うような厄介な輩は人間観察トカ好きなのよ。ンで、いつもナニかを求めてる。ネタ的なモノを。うん、多分。

デだな。例えば、
『スドウ』+『ランドセル』や『スカート』+『短すぎて丸見え』
なんてのは、その人が何に興味を持ち、何を欲してネットの海を彷徨っているのか。……うん、それなりに分かる。かなり。
でも、『縫製工場』+『世間体』は。
ワカランのである。意図が。検索者は何にたどり着きたくて、この二つの語句を同時に検索エンジンに掛けたのだ? 十分考え、三十分首を捻り、暇さえあれば、日がなこの検索者の人となりをシミュレーションしているのだが、出来ない。湧かないのである。むぅー、この人物、読めんっっ。

例えば、縫製工場の社長さんが自社の風評を探ったのだろうか? なれば、社名付きで検索したが早かろう。検索語句の入力ミスという線も疑ってみた。が、検索結果からウチへ飛んでいるのである。その挙げ句が履歴に残って、私を悩ましくしているのである。この線も望み薄だろう。

ならば、されば、とナイ知恵絞る。
昔文学少女だった母親の所業、というのでどうだ。昨今の不況で愛娘は良い就職口が見つからない。やっと見つかったのは縫製工場の派遣。母の脳裏をよぎるのは昔少女時代に読んだ「ああ野麦峠」であった。集団就職とか女工とか、古い死語が目蓋の裏にチカチカする。ああ、世間体が。娘の将来を案じ、母は検索エンジンへ。
……そんな莫迦な。っつーか、「野麦峠」って縫製工場でしたっけ? なんか違う。間違っている。この「母」シミュには納得出来ん。人物設定、ボツ。

ああ、『縫製工場』と『世間体』よ。
この前、『お札ひらひら』で日記ページに検索してきた人より以上に、気になって気になって、もう仕方がないのである。

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