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178 ツワ剥き
2008年5月5日(月)

春の味覚、ツワの下ごしらえ。茹でてチマチマ皮を剥く。
茹でた時点で、あまりに大量なのでメゲそうになった。こんなん最初に喰った人間は誰だ? 下ごしらえ法を確立しちまった食いしん坊は何処のどいつか? ツワはマジクソ美味しいけれど、知らねば知らぬで済んだ味だとも思う。生きていくのに必須の栄養源でもあるまい。ツワ料理なんかなくっても我が人生に一切の支障ナシ、の筈っっ。それなのに、私はどういう宿業の果てにチマチマ皮を剥いているのカ? ああ、ツワの魔力に抗えぬ己が食欲の恨めしさ。

黙々と作業を続ける内に、頭が空っぽになっていった。無の境地って奴だ。単純作業はトリップしますな。
ふふん、無の境地、意外と簡単。……なんもねぇ、お釈迦様も菩提樹の下なんぞに座り込まなくても、ツワ剥きすれば良かったんだよ。あと喰えるし。断食すらいらんのに。そうまで苦悩して解脱して、その挙げ句にゃキノコで食中毒死だもんなぁー。ダメダメじゃん。ツワ喰え、ツワ。剥いてくれ、皮。出てこい、仏陀。出てきて手伝うのだ、これも修行ぞ。

思考はどんどんワケの分からぬ時空の果てへ。キリストのいばらの冠はとげとげで痛そうだから、ツワで編み直してやってはどうか、とかも考える。聖人繋がり。冒涜の極み。石をパンに、水をワインに換える手管があるのなら、ツワの皮をつるりと剥けよキリスト。奇跡を起こせよ、ハレルヤ。

そうこうしているうちに剥き上がりましタ。ツワ。苦行時間二時間。
解脱も奇跡もありゃしませんが、取りあえず美味いので、シアワセです。
ちなみに、ダンナちゃんの風邪、うつりました。バチ当ったかぁ?

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