日記(TOP)
エッセイ
小説
ライン
案内所
リンク






 TOPエッセイひねもす目次04>171

171 いかにもな夢
2008年1月8日(火)

ヤな夢を見た。
ダンナちゃんが虫を獲ってきた。体長約1センチ、色はピンク。半円を立てて、その直径部分に足と触覚を付けたような虫である。この虫は群れで生活しており、
「その習性がね、面白いんだよ」 と、ダンナちゃんは自慢げに話す。
「普段は蟻みたいに地中に巣を作っているんだけど、木とか垂直な物に出会うとね、隊列を作って登り降りを繰りかえすんだ」

ダンナちゃんが虫かごの蓋を開ける。そして長い棒きれをその中に突き立てると、なるほど。ピンクの虫達は連なって棒きれを登り始めたのである。棒のてっぺんまで来ると、今度は下に折り返す。ずっとそれを繰りかえす。
「ね。スゴイでしょう。観てて飽きないよねぇ」
うっとりと虫達の動きを見つめているダンナちゃん。そうなんだ。この人こういうの好きなんだよ。比重の違う砂粒が落ちて文様を描くのとか、液体の対流とか、ゆらゆら揺れる光の帯とか。そういう系のグッズ、我が家にいっぱいあったりする。

でも、虫? わじゃわじゃな虫? 得体の知れないピンクの虫? ヤだよ、私。そーゆーの。第一逃げたらどうすんだ?
ふと気づけば、既に虫かごから脱走したらしき虫どもが部屋の柱を垂直に上り下りしているのである。カーテンにも。本棚にも。あっちのテレビ台でも! ピンクの半円が行列してる。

「だ、ダンナちゃん。逃げてる。家中で虫が繁殖してる……」
「そりゃ、飼ってれば少しは逃げるよ。しょうがないよ」
「しょうがないって、アンタ……」
「あ。新しい登り場所を虫が見つけたみたいだね」
ダンナちゃんがにっこり笑う。「ほら、登ってる、登ってる。見てみて」 と指差してはしゃぐ。
見るまでもなく分かっていた。虫たちは、床に垂直に立っている私の身体を、今登り始めたのである。。。

「うっぎゃああ」と叫んで飛び起きて、そのままダンナちゃんに抗議した。まだ背中を伝う虫の感触を覚えているぞ。なんて夢だ。
「アンタって人は、アンタって人は。二度とやったら離婚だからね。いやさ、ナタで頭かち割ってやる!」
「……は? 起きたと思ったら、ナニ言ってんの?」
この野郎。とぼけた善良面しやがって。私の怒りを理解して貰うべく、たった今見たばかりの夢を説明する。
「アンタがあーしてこーしてこーなって、どうだ。非道いだろう。非道いじゃないか!」
「そんな夢の中のことまで知るもんか!」
「いかにもアンタがやりそうなことだから夢にみるんだろ! アンタが悪い! 謝れ〜!!!」

本当にやりそうなのである。いつ現実と化しても不思議ではない。これが私の初夢(二日にみたワケではないが、今年に入って初めての夢)だというのが、また痛い。
ダンナちゃんの性格や趣向から推して、やりそうだから見たのである。私の無意識下の恐れが如実に反映された夢だったのだと解釈出来る。ダンナちゃんは決して謝ってくれなかったガ、是非謝って欲しいと思う。イイからとにかく謝れよ〜っっ!

<1つ前のページへ戻る (※要JavaScript)

TOPへ↑上ニ至ル