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170 スペシャル天
2007年12月18日(火)

旅先で大きな公園にやって来ていた。美しい池を備えた公園である。観光地であると同時にオフィス街が近いからか、OLやサラリーマンも歩いている。折しも昼食時であった。日差しが温かいので、池のほとりで弁当を食べる姿が目立つ。池では鯉が跳ねている。

私も腹が空いたなぁーと思った。見ると、公園の脇に弁当屋があって、多少の行列が出来ている。私は歩いていって、その行列の最後尾に並んだ。どこかの店で食べるより、池の鯉でも眺めながらのんびり弁当をつつくのが楽しそうに思えたのだ。

弁当屋は若いお姉ちゃんがレジにいた。奥の厨房でオヤジさんが揚げ物をしている。二人ともクルクルとよく動き、注文を取る声も威勢が良い。活気溢れる弁当屋である。天とじ弁当が名物らしく、大きな貼り紙が貼ってある。エビの天ぷらは好物である。私はにんまりとほくそ笑んだ。

さて。行列待ちの暇つぶしに、聞くともなしに客の注文を聞いていると、「スペシャル天」という単語が耳につく。
「スペシャル天一つ」
「はい。スペシャルー」
「僕もスペシャルね」
「はい。毎度どうもー」

うむむ。「スペシャル天」。見たところ、メニューには書いてないようなのだが、常連客向けの目玉弁当に違いない。エビがデカイのであろうか? それとも本数が多いのであろうか? いかにも旨そうなのである。私の前の客も、その前の客もスペシャルを頼んだ。そうして私の番がやって来た。

「ご注文どうぞー」
「あの、えっと、私も前の人と同じ……」
「スペシャル天ですかぁ?」
「うん、それ!」
「はーい。スペシャル追加ー」
メニューにないので値段は判然としないが、折角の旅先である。多少高くても旨いものが食べたい。注文を終えて私の期待は高まった。エビ天、エビ天。スペシャルなエビ天。お姉ちゃんが私に包みを持ってくる。

「おまたせしましたー。こちらスペシャル天、8000円になりまーす」
「は、ハッセン〜〜〜っっ!!!!!!!!!!!!!!!!」


……と、いう夢をみタ。値段を聞いたところで、あんましビックリして目が覚めてしまった。
ハッセンエンのお弁当。目覚めてからもしばらくは胸がどきどきし続けた。なんであんな夢みたんだろう? 状況・価格設定がありそうでなさそうで、やっぱしありそうで、微妙である。ハッセンエンで飛び起きる辺り、私の人物的価値も微妙である。

なんだか収まりが付かなくなり、今日の夕飯には、ほっかほっか亭の天とじ丼を食べましタ。定価450円。分相応でございます。

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