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162 盲点
2007年8月20日(月)

先日、帰省した折、実家の冷蔵庫と電話機を買い換えた。母は骨折以来、一人での遠出が難しい。しかも怖ろしく機械類に弱い。家電品の買い換えには私やダンナちゃんのサポートが必須なのである。

電話機はお持ち帰り出来たので、すぐさま設置。「留守電メンドウ」と母が言うし、どうせテープが満杯になっても消去も出来まい、再生のやり方も覚えるまいと思われたので、その機能はOFFにして、子機の使い方や充電法など最低限の必須操作のみをくどい程に繰りかえして説明する。「覚えたー」と言っても安心ならん。数日掛けてとっくりと母を仕込む私であった。なにせ、高速バス5時間掛けないと実家に帰れないのである。「わからんー」と言われてちょいと帰るという訳にはいかない。

冷蔵庫はお持ち帰り出来ず(当たり前だが)、既に私達が帰省を終えてこちらに戻ってからの配達であった。
心配で、これもクドクドと事前に説明しておいた氷の作り方は「ちゃんと出来たよー」という。一安心。
しかし、「玉子がちゃんと置けないのよ。穴がもの凄く浅いの」と抜かす母。長年培った娘の勘が働いたね。ピーンと来たサ。
配達されてたて、新品ほやほやの冷蔵庫は玉子のトレイが裏返しに置かれているのだ。母はそれに気づけないのだ。その位のボケは往々にしてカマしてくれる母である。「この冷蔵庫、絶対オカシイ」と電話口で憤慨なさっているが、玉子の入らない冷蔵庫があるもんかい。母の方がオカシイのである。

「玉子のトレイをひっくり返せー」と諭す私。
「ひっくり返らないー」と返す母。
「そんなワケあるかー!!」と叫ぶ私。
しばらく、あーだこーだ言い合ううちに、母が重大なことに気がついた。

「あ、玉子のトレイがテープで固定されてる!」
||||||||||||||| _| ̄|○ ||||||||||||||| 搬送用のテープですね。そりゃ、動かん筈ですわい……。

「玉子がきちんと立つようになった♪」と浮かれる母。電話口でその喜びの声を聞きつつ、私は脱力していた。
流石に玉子トレイとは、思ってもみなかった母の機械音痴(機械なのカ、これ?)ぶりである。なんという盲点……。泣きたくなった。
ちなみに、電話機の操作法もやはりと言おうか、当然と言おうか、よく質問されている。

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