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127 風邪薬と薬剤師と私

風邪を引いていた時に、ドラッグストアで感冒薬を買い求めたのであるガ。とあるカプセル剤の小箱を持ってレジに行くと、薬剤師が別の薬を持ってきて「それよりもこっちの方がイイです」などと言う。「風邪には断然この薬の方が効きますヨ」と、かなり執拗に風邪薬のチェンジを勧めてくる。

私とて、別段自分の手にしたカプセル剤に思い入れがあったという訳ではない。よくCMで見る名前の薬を何とはなしに手にしていただけなので、薬剤師氏のお薦め通りそっちに変えても良かったのだが……何というか釈然としない。

見たとこ、似たような有名製薬会社の似たような有名薬なのである。値段もほとんど同じである。どうしてもお薦め品を買わせたいらしい薬剤師氏のその熱意が、何処から来るのかが謎なのだ。
某製薬会社からリベートでもあるのだろうか? もしや売れ残り品ではあるまいな? そんな疑いが芽生えてしまった訳である。それとも、薬剤師氏には特定の風邪薬に対してのっぴきならぬ深い愛着でもあるのだろうか? 死んだ爺さまの遺言で「風邪薬は○○以外、決して売ってはなんねぇだぞ〜」と言われたんだトカなんとか。

大体、私は薬剤師氏に自分の風邪の症状などひと言も相談していない。というか、私が服用することすら公言しちゃあいないのだ。なのに、何故「効く」と言い切れるのだろう? 風邪って沢山の種類があるんじゃないんですか? 流行りの風邪で判断してらっさるんですか? 「昨日までケニアの奥地に居たの。そこで移された風邪なのよ」な人が飲むんだったらどーする気だ? 第一、「断然この薬の方が効きます」のなら、効かない薬が棚に陳列してあるのは何故なんじゃ〜?

相手に強固に出られると、こっちも意固地になってしまうのが私の悪いクセである。結局、薬剤師氏の反対を押し切って、自分の選んだ薬を買った。薬剤師氏の予言(?)通り、ちっともさっぱり効かなかった。本懐である。
その後、薬剤師氏のお薦め薬も買って飲んでみた。私の予想通り、こちらもやっぱり効かなかった。本望である。

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