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122 雪印の言葉狩り

昨日のNHK「クローズアップ現代」。「情報開示が企業を変える」にて。
以前、問題を起こした雪印乳業が取り上げられていた。ものすげー面白かったのデ、紹介しておく。

問題を起こした彼らは、消費者の信用を取り戻そうと必死である。それには「情報開示」が重要である、と考えた。 まず、彼らは自社製品のパッケージに注目する。例えば「北海道」と大きく書かれたチーズ。これは実は「100%北海道産」ではなかった。よって、新たに「北海道産チーズ60%使用」と書き加えた。

嘘、大げさ、紛らわしい。
そういう誇大広告をなくしていこうというんである。JAROってなんじゃろ〜? みたいな感じ。
まあ、それは正しい発想である。大いに応援してあげたい。

しかし、この先が気になるのだ。

最高級、特上、高級、並、ベスト、
完全、永久、安全、安心、
本格、逸品、本物、スペシャル、エクセレント、完熟、
自家製、職人芸、本造り、特製、手造り風、昔ながらの、伝統製法、できたて、


列記したこれらは何か? というと、雪印乳業が「商品使用禁止用語マニュアル」に書き連ねている言葉である。つまりは、NGワードだね。
確かに「できたて」は誇大広告かと思う。「完全」「永久」。この辺も、食品に使う用語として有り得ない。究極の添加物でも入ってるのカ? と疑ってしまう。しかし、「安全」「安心」。コレらをNGワードにしちまってイイのだろうか? ってか、書かないまでも、それは暗黙の了解として食品メーカーが掲げるべき企業理念の一部ではナイか? ……大丈夫カ、雪印? なんや迷走してナイか? (っつーか、「並」ってナンなのよ?)

彼らの迷走ぶりをハゲシク意識させられたのは、この後、新製品のパッケージに付けるべき、謳い文句を考えている場面である。
「歯ごたえサクサク グリッシーニと とろ〜りチーズのおいしいセット」
なんと、彼らはこの文から「おいしい」の文字を抜いたのだ。
「ウチの会社が主観でおいしいと言っているんであって、消費者がおいしいかどうかは分からないから」
…というのが、その主たる理由であった。

待て、と言いたい。
待て、雪印。お前ら商売人の魂はどこに置いてきてしまったんだ? 例えおいしさに自信が無くても、「おいしい」と言い張るのは、商売人として正しい在り方だと私は思うゾ。ってか、ナニをそこまでヒクツになってる? あの問題で叩かれすぎてどーかしちゃったンですカ?

そこまで気になるのなら、いっそのコト、全ての文句に「かもしれない」を付けてしまえ。
安全、かもしれない
おいしい、かもしれない
チーズ、かもしれない
雪印、かもしれない

「安全」「安心」「おいしい」を謳わなくなった雪印。
彼らの今後の動向に、大いに注目していきたい。

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