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121 日本史の思い出

全く勉強の「べ」の字もせずに、学期末試験を受けちっタ。そんな思い出がタダの一回だけあります。高校二年の日本史の試験でありましタ。

当時の私にとって、「現国」と「日本史」は「勝手にゆとり認定」の時間でした。教科書読めば分かるようなコトしか先生がしゃべってくれないので、あなどりまくっていたンですよね。授業聞かずに、ノートには自作小説とか、パラパラ漫画とか、そんなんばっかし書き付けて遊んでて。かなーり腐った生徒でしタ。

で、試験期間に入って。
さっさと勉強すりゃあイイのに、ここでも私はあなどったんです。「どうせ日本史なんざ、オール暗記なんだから、試験の前日、一夜漬けすりゃあエエのんさ。ケケケケケ…」
挙げ句の試験前日、寝ちまったンですよ。私って奴ぁ。日本史の教科書の上に突っ伏したまま。起きたら、もう学校に行く時間でやんした。あの朝ほど、我が身を呪ったことはございません。

一切合切、勉強せずに試験を受けタ。我が人生最初で最後の何ともオソロシイ悪夢でしたね。試験前日に居眠りこいたのも、アレ一回こっきりです。やって出来ないのなら仕方ないですガ、やらずに出来ないのは当然すぎるというか、アホですよ。よくも図々しく試験を受けたモンだとも思いますガ、自分のしでかした責任は取らなきゃなぁ〜と思ったワケです。ワケのワカラン潔さです。そういや、中高時代の私ってのは、妙なヒロイズムに支配されてたなぁ〜と懐かしく思いだしてしまうワケです。

後日。その答案が返ってきましタ。赤点なのは分かり切っていましたし、追試だろうとも思ってました。前述した通り、当時の私は潔かったですからね。先生に罵倒される覚悟はしっかり出来ておったんです。
先生は答案を返しつつ、私の顔をじっと見つめなさいました。そして、当時三階にあった教室の窓を指さすと、たったひと言、

「とべ」
っと仰ったんであります。

罵倒もぜず、何で勉強しなかった? とかも聞かず、たったひと言の「とべ」。
先生の情けない心情がにじみ出たお言葉であります。金言であると思います。このひと言のユーモア故に、私は先生のご尊顔を忘れることが出来ません。先生、貴方の授業をきちんと拝聴せずにご免なさい。ついでに「とべ」と言われた時、思わず笑ってしまってご免なさい。ホントウに悪い生徒でございましタ。


さて。私は、あの日の先生の言葉を「金言」と受け取っておりますが、今の世の中ではどうなんでしょう? なんか、本気で飛び降りちゃう子とか居そうで、おいそれと発言できないですよね。そんな気分が致します。

「とべ」と言われて、「しからば」と答え、その場でピョンと一回軽くジャンプしてみせる。そして、にんまりと笑い合う。自分がそういう図太さを持った女子生徒であったことを微笑ましく思います。それを見抜いていらした先生に思慕の念を覚えます。結局、この先生とは「波長があった」というコトなのでしょうが、普通に勉強していたら、このエピソードはなかったワケで、先生のことはすぐに忘れ去っていたでしょう。
そう思えば、赤点取ったコトすらも今となっては良き思い出です。かなり冷や汗かきましタが、ね。

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