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050 その女・WindowsXP

バイ代ちゃん 第1章:ぴーしゅけ、絶世の美女に骨抜きになる
 このたび、ぴーしゅけは新しいパソコンに手に出してしまった。その名もSONYのVAIO-W。 白い肌。すらりと(横に)伸びた肢体*注1:ワイド画面なんである(笑)。整った現代風の顔立ち。美しき声*注2:パソコンじゃなくステレオかと思うほどに音質がイイ。 女に例えるなら絶世の美女である。そのうえWINDOWS・XP搭載という才女でもあった。

 この才色兼備の美女が、である。電気屋さんの店頭にて、そりゃもうにっこりと妖艶なる微笑を浮かべてワタクシを手招きしたのである。「私を買って〜♪」と囁きかけてきたのである。
 「うおおおおっっ〜〜〜!!!」
 これで手を出さなきゃ普通じゃない。「据え膳喰わぬは男の恥」じゃとゆーではないか。
 っつーか、ワタクシは女なんであるが、このVAIO-Wという妖艶なる美女を前にして、ワタクシは唐突に<男モード>になってしまっていたのである。

 「ううう〜〜〜、お前が欲しい〜。お前の全てを手に入れたい〜。
 お前を俺色に染め替えてやるゼ〜〜〜っっ!!!」 完全に男モードである。
 っつーか、ちょっち野獣が入ってる(笑)。

 ワタクシは鼻息を荒くしながら、このパソコンを手に入れた。美女を手中に収めるために結納金をたっぷりとはずまされたことは言うまでもない。

第2章:古女房・ビブ子との愛の終わり
 さて。ワタクシがこれまで使っていたパソコンは富士通のBIBLO(WINDOWS98)である。VAIO-Wが絶世の美女なら、こちらは言わずと知れた古女房(笑)。彼女はワタクシが自分用に購入した最初のパソコンである。男モード的に言えば<初めての女>じゃ(爆)。それなりに愛着もあり、気心の知れた使いやすさ、というものがあった。

 BIBLOをパソコンデスクから下ろして、新しいVAIOを乗せる時。ワタクシは古女房・ビブ子に泣かれている気がしてならなかった。
 「シクシク・・長年連れ添った私を捨てて、そんなどこの馬の骨とも知れない女に手を出して・・。ヒドイわ。これまであんなに尽くしてあげたのに・・・」
 「あうう〜。許してくれ〜ビブ子。俺は今、男モードなんだよ〜。男は美人で若い女に弱いんだよ〜。  それが男の性さがなんだよ〜〜〜」
 現実世界で、夫からそんな台詞を吐かれようものなら、即刻間女と共に手打ちにしてくれるであろうワタクシであるが、なんせ、現在男モードバリバリである。

 「ビブ子、俺と別れてくれ!」  そんな(ムゴ)い台詞と共に、BIBLOへの未練をすっぱりと断ち切ったぴーしゅけなのであった。

  ちなみに、ビブ子はダンナちゃんが身請けすることに決まっている。ビブ子、達者で暮らせよ。不実な俺のことなどキレイさっぱり忘れ去って(初期化されて)、どうかシアワセになってくれい。
第3章:訪れた蜜月の時
 かくして、新妻・バイ代との新生活が始まった。
 実は、ワタクシはバイ代の見てくれの良さにだけ惹かれたのではない。バイ代のXP搭載という頭の良さにこそ、真に惹かれたのである。バイ代は若いだけあって、基礎体力がケタ外れに違う。しかも、リソースの容量は無限と呼べるほどの懐の広さまでも兼ね備えた女だったのである。

 リソース面でいつもアップアップしていたビブ子と違い、操作性に恐ろしく余裕がある。作業中にMP3で曲を聴こうと思っても、ビブ子はキー操作の度に曲をぷつぷつとぎらせて不平を漏らしたものであったが、バイ代は全く動じる気配もない。その上むちゃくちゃ音がイイ。

 「ああ〜!バイ代ハニー。お前は最高の女だぜ!!」
 ぴーしゅけは喜びの声を上げた。古女房・ビブ子の怨嗟の声が聞こえたような気がしたが、全く気にもならない新妻・バイ代とのラブラブな新生活なのであった。
第4章:ぴーしゅけ、その移り気の報いを受ける
 しかし、ある時唐突に新妻・バイ代との生活に陰りが差した。エクスプローラを開いた時のことである。
「う・・・。これまでの階層分けと違ってる・・」
 そうなんである。WINDOWS・XPと98には各方面にかなりの違いが見受けられたのである。
 先ず、マイ・ドキュメントが2つある(よーに見える)。共有ドキュメントなんて言う新発想のフォルダが作られていて、その為だろう、SendToやIEのFavoritesなど、重要なフォルダの場所が98とは全く違う場所にある(よーに一見見えてしまう)。

 最初からXPを使う人や、多人数で1つのパソコンを共有する際には分かりやすい階層分けなのであろうが、98に慣れてしまった我が身には、まことにもって不便で不便でしょうがないのである。なんか、エクスプローラ開くたんびに戸惑ってしまうのである。
 バイ代に対し、そう訴えてみたところ、

 「私(XP)には<クラシックスタイル>って言う98風にする機能もあるのよん」 と誇らしげに答えた。
 しかし、それは所詮ウインドウなどの見てくれだけのことであって、根本の階層分けなどまで98風になる訳ではない(←当然かい?)。見てくれだけなら、カッチョエエXPがイイに決まっているのである。

 「以前のエクスプローラの階層分けにしろよ! バカ」
 「ふん! 私には私のやり方ってもんがあるのヨ! いちいち指図するオトコなんて大っ嫌〜い」
 「しかも、お前、98用のソフトどころか、下手すっとXP対応って書いてあるソフトですら動きが怪しいじゃないか! こりゃ、どーゆーことだ!! こんなコトなら・・・」

 「こんな事なら? ナニよ? また前の女と私を比べてるのね! いつまでも前の女を引きずらないでよ。私は天下のXP搭載の高性能な女なのよ! アンタが私に合わせなさいよ。アンタだけじゃなく、世界中が私にひれ伏すべきなのよ!!! フンっだ!」

 恐るべしバイ代。彼女は気位の高い女だった。「俺色に染め替えてやる」どころか、こっちが染め替えられなければ付き合っていけない女だったのだ。

 そうと悟った時・・。古女房・ビブ子の顔が脳裏に浮かんだ。思い返せば、ビブ子は優しい女だった。長年連れ添ってきた情愛があった。エラーが起こりそうな時にはなんとなく事前に察知できたし、カスタマイズの面に置いても、全て俺色に染め替えられて、それに文句ひとつ付けたことのない従順で貞淑な女だった。
 「ああ〜! ビブ子、俺が間違っていた! 戻ってきてくれ!!!」
 そう思ったが(←思うなよ)、時既に遅し。
 ビブ子は見受け先のダンナちゃんの手によって、初期化された後であった。

 「あなた、誰?」
 早くもダンナちゃん色に染め替えられつつあるビブ子は、もう以前とは違う見知らぬ女になっている・・。

 ビブ子は去った。もう戻っては来ない。
 これからは、俺が新妻・バイ代の色に染め替えられて生きていくのだ。それがビブ子を見限ってしまった俺の、惨い仕打ちに対する当然の報いなのだ・・。

 ちなみに。VAIO購入から10日目。
 男モードを脱したワタクシのバイ代染め替えられ率は現在70%(当社比)。
 100%になる未来も、そう遠いものではないかものしれない。はっはっは・・。

注:貼ってあるバイ代の画像はSONYさんのHPから拝借してきたものであります。
許可など取ってるわけではねーので、決して通報しないよーに!

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