046 捏造 「子どもって、結構ずる賢いんだヨ」の巻
私には遥か彼方な大昔に、読書感想文や作文やらで賞状を頂きまくった・・という輝かしい(?)過去がございます。もう、一時期なぞは朝礼の度に校長から名前を呼ばれたものでした(賞状を渡されるから)。
担任からは喜ばれるし、(どうやら、担当生徒が賞を貰ったりすると、先生にも泊がつくらしいんだよ。別に文書指導も受けてねーのにナンデかね? ←未確認)近所のおばちゃんからも誉められ続けて、かなり得意げ〜なワタクシだったりしてたワケです。
ところが、それが災いしました。ある日、担任に呼び出された私(小学・・確か4年生)は、とあるテーマで作文を書いて! と頼まれるハメになったんです。
なんでも、各校に必ず提出しなくちゃならない枠(?)があって、その期限が迫ってる。本来なら、授業中に作文の時間を取って、クラス全員に書かせた後で、良品を出展するべきトコなれど、授業の進行が遅れ気味で、ど〜しても作文の時間は取れそうにない。しかし出品作は必要だ。困った。どうする??? な事態だったと。
で。 「そうだ! (よく作文で賞を取ってる)ぴーしゅけちゃんに書いてもらおう」 と白羽の矢をぶち込まれてしまったワケです。先生としても苦肉の策だったコトは分かるケド、かなり強引な戦法ですねぇ。まさに白羽の矢。人身御供
当時の私も 「げ〜!!!」 と思いましたねぇ。
そりゃアナタ、そうでしょう。ナニが悲しゅうてクラスでたった一人だけそんなイラン宿題を背負わされにゃあならんのよ!?
モノは漢字の書き取り100字とはワケが違う。原稿用紙数枚(当然規定枚数アリ)をそれなりの言葉で埋めるのはアニメ番組観ながらの片手間に出来る作業ではナイんですから。
渋って見せはしたものの、そこはそれそれ教師の腕。まだガキんちょなワタクシに、当たった矢羽を引き抜くことなぞ到底出来る筈もなく、3日(!)以内の提出を約束させられたのでございます。
その日、家に帰宅してから。私は母に相談しました。
言い忘れておりましたが、書かされる作文のテーマは「火事の防災について」。消防署主催・防災週間用の作文&ポスターを各小学校に募集して来てたんですねぇ。
コトの成り行き具合も最悪ですが、このテーマも・・・かなりキてると思いません?
私がそこらじゅうで焚き火を炊いて回るような火遊び大好き♪ 不良少女だったならともかくも、たかだか小学4年生の普通の子どもに対してですよ、火事や防災のナニを語れと言うのでしょう?
「書くことが思いつかない!」 と困り果てる私に母はこう申しました。
「火事は怖いから火事にならないといいな〜 って風にイイカゲンに書いときなさい」
・・・・・・役に立たね〜母でアリマス。
イイカゲンに・・・、と言われても、担任の弁から察するに、私がどんな駄文を書こうと、それは否応なく消防署だか県だか市だかに出品されちまう運命なのです。つまり。暗にそれなりのクオリティおば求められてるって事じゃあないデスカ!
第一、当時の私にもそれなりの虚栄心がありました。野心だってあったんです。だって、ワザワザ書かされる以上は、賞品(佳作などに贈られます。主流はノートや鉛筆ですな)くらい貰わねーと損じゃないか!
アテに出来ない親のコトはあきらめて、幼き私は一生懸命考えました。
火事・・。火事・・。TVのニュースでなら観たことあるケド、ホンモノ見たことはナイよなぁ〜。
TVニュースの話じゃあ、迫力のある作文は書けそうにないなぁ〜。
ちくしょう・・・。どっか近所が燃えてくれりゃあイイのに・・・ ←危険思想注意警報
散々悩みに悩んだ挙句。とうとう私はある結論に達しマシタ。
そうだ! 架空の火事を捏造
幸い、私はその2年前に転校して来ておりました。生まれた時から住んでた土地なら、この捏造は発覚の怖れが大であります。しかし、教師が! そして消防署のおじさんが!! わざわざ私の過去住所を探り出し、その近所での火事記録の有無までも果たして調べる事があるか? いや。そんなヒマな大人は居ない! 幼い私はそう踏んだのでありますよ。我ながらズッコイ子どもでありマス。
あまり詳しく場所や建物の話を書くと、これまた捏造発覚の危険性が増しますからして、
まだわたしは小さかったので、よく覚えていませんが・・・と前置きし、
ゴウゴウ、ボウボウ、モクモクと炎とけむりを上げる火事のこわさは・・・なぞと火事の恐怖を好き放題に書き連ねた挙句、全焼の火事はそれほど多くない事を思い出し、これはマズイと
あとでお父さんから聞きましたが、本当にはボヤていどの火事だったのだそうです。でも、そんなボヤくらいの火事でもあんなに火事はこわいのです。・・・と迫力満点の文章に、つじつま合わせの付け足しをしました。
その上、あろう事か、おおそうだ! 審査員(?)には当然消防のおじさんだって含まれるだろう。ここは一発媚の一つも売っとくべ〜・・・と
あんなに熱い火の中にゆうかんにとびこんで行くしょうぼうのおじさん達はえらいなあ、スゴイなあ、ゆうかんだなあと思いました。わたしだったらきっとにげ出してしまうと思います。なんてコトまで書きましたのです。
コレってモチロン、火事はフィクションに決まってますが、小学4年生当時の私が考えた事についてはノンフィクションなんですよぉ。なんてずる賢いんでしょうねぇ。ヤなガキですねぇ。怖いですねぇ〜。性根腐ってますよねぇ〜。(考えた単語は違いますがね。当時の私は当然『捏造』とか『媚を売る』なんて言葉は知りませんでしたから)
結局。このようにして大いに捏造された私の作文は、そのままどっかに送られて行き、その後〇〇賞として賞状と賞品を頂くコトとなりました。賞品はかなりおヨロシく、大学ノート3冊&鉛筆1ダース&防災下敷き(これはイランと思ったが(笑))でありまして、担任教師の覚えもメデタク、私は苦労の甲斐があったってモンだぜ! と心地よい<勝利の風>が吹くのを感じたのでございました。
もう、大人になってから。この捏造火事・作文秘話を母に話してやりました。
母は「おまえはいつも黙ってナニ考えてるのかよく分からない子どもだったけど、そんなに色んなことを考えていたんだねぇ」と言いました。「そんなに知恵が回ってたんだ」 とも。(←何気に失礼だよな・・この台詞って)
いやはや。
親や教師が考えるより、子どもってのはず〜〜〜っと知恵が働いているもののようであります(笑)。
ここまでズルイ方向に脳みそを使っていたのは私だけかもしれませんが・・。
お宅のお子さんは如何です?