039 自力で〇〇〇を呼ぶ女
あれは、ワタクシが花の女子大生なりし頃。当時のワタクシは一人暮らしでありました。
さて、とある夜更け。
ふと、気づいてしまったイヤ〜〜〜なモノ。5年周期くらいでやって来るオゾマシイ感覚。
それは、「あ、アレがやって来る!!」という哀しい予感でありました。
アレとは、ワタクシの数多き持病(?)の1つでありまして、とにかくムチャクチャ腹が痛くなる! というものであります。
ワタクシのように、開腹手術をした者には多いようですが、腸が癒着しまして、そのため、お通じが悪くなる。で、腸の動きがヘンになって、腸閉塞とか、まあ、そこらヘンによく似た激症があらわれてしまうんでありますね。
で。これが痛い! 頼むからもう殺してくれ〜 と思うくらい痛い!!
あまりの痛みに貧血起こして、ふぅっと気を失いかけて、しかしあまりの痛さに気を失うことすらできん・・・と、このような恐怖の時間が短くて3・4時間。長ければ一晩中続くのであります。
嫌な予感ほど当たるもの。
やはり、予想通り、その時はやって来ました。もう、腹を抱えて、うんうん唸ることしか出来ません。この時、ヘタにベットなんぞに寝ておると、痛みに耐え兼ねてエビゾリする内に落っこちたりするのですが、幸いなことにベットはございませんでした。
そして、かれこれ数時間、痛みはちっとも治まる様子もなく、あまりの痛みのため、胃の中のものを戻してしまう有様です。トイレの前の床に転がったまま更に一時。
・・・・・まあ怖い。数分間隔ではありますが、ワタクシ、本当に意識を失い始めたのでございますよ。
これはマズい・・・
『一人暮らしの女子大生、腐乱死体で発見さる!!』
なんて、新聞の見出しが頭をよぎりました。
せめて、『美人女子大生』にしてくれんかな・・・なぞと阿呆な考えもよぎりました。この危機的状況下で、思い返せばワタクシ、なかなか大物でございます。
朦朧
更に、薄れゆく意識の中で考えたのは、今現在の時刻であります。時は真夜中。草木も眠るウシミツ時。電話で近所に住む友人に助けを求めるとして・・・熟睡中の友を叩き起こして、その子が身支度を調え、我が家にやって来てから救急車に電話する・・・。かなり時間がかかります。
同じ1本の電話をかけるなら、最初から119にかけた方がマシのようです。
そう思ったワタクシは床を這っていって、電話機までたどり着き、自力で救急車を呼んでしまったのでございます。
救急車の中で、救急隊員の方が、
「〇〇病院に運びますけど、そこでいいですか?掛かり付けのとこはない?」
なぞと質問していたようですが、きちんと聞き取れるような、ましてや返事が出来るような状態では既になく・・・
翌朝、ようやく意識を取り戻したワタクシは、先ず、看護婦さんにこう訊くことになるのです。
「あのぅ・・・ここは何処ら辺にある、なんという病院でしょうか?」 と。
その後、この一件は友人どもの知るところとなり、ワタクシは「自力で救急車を呼んだ女」として、名を馳せることになりました。
だって、パジャマ1枚のみで入院したんだぜ。財布すら持たずに!!
流石に友達に服と金持ってきて〜って頼むしかないじゃん。親は他県に住んでたし。
後日、めでたく退院後。「お前さんなら自力で霊柩車だって手配しそうだ〜」 なぞと、さんざんに言いはやされましたが・・・・・幾ら私でも流石に霊柩車は自分で呼べんわな。既に死んでるんだもんな〜。うん。