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028 「赤い・・・」シリーズ  第3話 書店にて

 「赤い・・・」シリーズ最終話でございます。
 「出物腫れ物所嫌わず」 と申しますが、それは鼻血サマも同じであるようです。

 高校生の私はある日、とある書店におりました。マンガやら、文庫やら、色々と見て回った挙句に私は雑誌のコーナーへと足を向けました。沢山の写真集や週刊誌などが平積みにして置かれています。ぼんやりとそれらの本を見るともなしに眺めていたその時でした。
 落ちたのです。ポタっと。私の鼻から赤いものが。
   それは平積みされていた本の上に落ちました。私は大慌てでティッシュを取り出し、先ず自身の鼻を押さえて2次的被害を防ぎ、それから大急ぎで本の上の赤いものを拭き取ったのでございます。
 「こりゃあ、買取りか?」と思いましたが、その本は装丁も美しく、とてもお高い本でした。その上、全く興味のない分野の本であります。

 表紙に使われていた紙が高級なものだったのでしょう。ビニールコーティングが施されていて幸いにも後を残さずきれいに拭き取ることができました。ちらりと店員の方を盗み見ると、私のしでかしたことには気づいていない様子です。ワタクシは自分の血の洗礼を受けた本をそのままに、早々にその場を立ち去ったのでございます。

 さて、この出来事を思い出すたび、返す返すも思うのは、血の洗礼を受けた本が、その2・3冊隣にあったヌード写真集でなくて良かった! ということでございます。だって、「イカニモ」じゃあございませんか。鼻血とヌードだなんて。
 その時は、綺麗に拭き取れたので、そのまま逃げてしまいましたが、後が残っていたとしたら、値段的に買い取りは無理でも(学生だったので所持金は1000円くらいでした)店員さんに謝りには行ったでしょう。でも、それがヌード写真集だったとしたら・・・。
 その当時から、多少性格は歪んでいたやも知れませんが、私はまだ高校生。鼻、いや花も恥らう乙女であります。

 「少なくとも、自分自身には正直に生きたい」
 これが私のモットーでありますが、あの日、あの時、あの本がヌード写真集だったとして。店員さんに謝りに行くことができたかどうかについては、ちょっと自信がないのです。

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