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014 ばあちゃんフェロモン分泌中!

 ちょっと不思議なことがある。
私が近所のスーパー等へ行くと、かなりの頻度で、ばあちゃんに声をかけられるのだ。

 鮮魚コーナーでは、「この魚、新しいと思う?」 と尋ねられ、惣菜コーナーに行けば「この小松菜のおひたし、あんまり美味しくないのよ」 と教えられる。

 その他にも、
「お酒はどこの棚にあるのかねぇ」
「その手提げ、かわいいじゃないの。どこで買ったの?」
などなど、とにかく、頻繁に、ばあちゃんに捕まる。

 ばあちゃんに捕まると、10分位は、離してもらえない。
「今日はイワシが安かったのよ」 と、夕食の献立の話になり、「でも、おじいちゃんは、魚嫌いなのよ。もうトシのくせに、肉ばっかり食べるの」 と、伴侶のワルクチに発展する。
 挙句の果てには、何時の間にか、嫁の愚痴までこぼされてしまっていたりする。

 これが、知人だと言うのなら、別段不思議なことではない。いつも、同じばあちゃんだと言うのなら、それも分る。
 でも、ぜ〜〜んぶ、違うばあちゃんなんだなあ・・・。

 今日などは、咽喉が痛むので、ノドアメのコーナーに行ったら、
「ノドアメ買うの?これが美味しいよ。あ、今持ってんのよ。食べてみる?」
 と、またもや、見ず知らずのばあちゃんに声をかけられ、ポケットから出したアメ玉まで、もらってしまった。

 これはもう、私がばあちゃんを引き付けるフェロモンを分泌しているとしか思えない。
 気をつけて見ると、ウチの近所には、お年寄りが多い。30年くらい前に出来た新興住宅地なのだから、考えてみれば当然だ。 沢山のお年寄りが、日中、所在なげにベンチに腰掛けている姿も、見慣れた光景だ。
 ばあちゃん達は、寂しいのかもしれない。
 見ず知らずの私に、何となく声をかけてみたくなる位、寂しいのかもしれない。

 この大変な世の中で、私の2倍も3倍も生き抜いてきた。私は、そのことだけで、お年寄りを尊敬する。

 おばあちゃん、こんな私で良かったら、どんどん声をかけてください。
 今日の夕飯、何ですか?

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