006 有名人はタイヘンだ!
最近のワイドショー番組は、某大女優さんの子育て問題で持ちきりのようだ。
女優業のせいで子育てが疎かになったのではないか、子供を甘やかし過ぎたのではないか、小遣いの与えすぎではないか、
というようなバッシングから、成人を過ぎた子供の素行まで親の責任にするのは、いかがなものか、その子供自身の資質ではないか、
というような母親擁護の意見まで、種々さまざまな意見が巷を飛び交っている。
子育てをしくじった親は、世間にゴマンといる(筈だ)。同時に、育ち損なってしまった子供だって山ほどいるだろう。
その多くの家庭の中から、何故ゆえ、この一家のみが、これ程大きく取りざたされるのか?
答えは簡単。「有名な大女優の一家だから」である。
しかし、どうして?何故?「大女優」だ・か・ら・と続いてしまうのだろう?
それは、私たちが、ある分野で偉大だと呼ばれる人に対して、
「人格や、その生き方も含めたその人の全てが素晴らしい!」と思い込んでしまっているからではないか?
私たちは、才能あふれる人に憧れる。
「この人は、こんなにステキだ。だから、きっとこんな人なんだろう」が、
「こんなに素晴らしい人なんだから、こうあるべきだ!」へと。
頭の中で、憧れの人の人物像は、どんどん誇張されていく。
憧れは、夢や、錯覚を生み出すのだ。
だからこそ、その幻想を破壊されることに耐えられない。それ故のバッシングや、擁護なのだろう。
まあ、結局のところ、「有名人は大変だ」ということか。
今回は、ちょっと固めのエッセイになってしまった。せめて最後は、
「私は人から誉められるような、秀でた才能がなくて良かった」
と、負け惜しみで締めくくってみようか…。
(2000/10/31)